国保連の調査の間に、後見申立てなどの準備をされてください。

永井 隆一

はじめまして、永井でございます。
ご相談内容を拝読いたしました。
また、回答が遅くなり申し訳ございません。

国保連に苦情を申立てられたと伺っております。
国保連では､介護サービス苦情処理委員会(学識経験者等)が調査の必要性を判断し､調査が必要と判断した場合､サービス事業者(施設)に対して､文書での回答を求めることや直接事業者(施設)への聴取を行い､その結果に基づいて､当該事業者(施設)への指導･助言を行います｡
調査の結果は､文書で申立者及び事業者に通知します｡処理期間は原則60日以内としています｡
また、事業者や施設が国保連の指導･助言に従わない場合､また､悪質な場合､県またはサービス種類によっては該当する市町村に連絡･通報し､ 県または市町村は調査を経て､指定取り消しを含む処分を行います｡
調査結果に基づいて改善すべき事項を「介護サービス改善に関する指導及び助言」にまとめサービス事業者へ通知します。送付後１ヶ月を目安として、サービス事業者に改善結果の報告を求める場合もあります。同時に、調査結果及びサービス事業者のとった処置を申立人・市町村・都道府県に通知します。
申立人が苦情処理結果に納得しない場合は、調査方法や審理内容について説明し、できる限り納得してもらうよう努めます。（原則として関係書類の閲覧はできません。）それでも納得が得られなければ、民事訴訟として裁判に訴える方法があることを伝えます。
同一の案件についての再申立ては、原則として受け付けません。ただし、サービス事業者等へ改善を促す目的に再度通知書を提出する場合があります。

実際、介護や医療の現場の調査に及び腰の自治体や委員もおります。その場合、さらに時間を費やすこともあり、最悪の場合には施設側へは戒告すらされない場合もございます。
なお、国保連の出す結果については、他の行政機関も尊重すると存じます。

貴女のご相談のケースでは警察への通報もされており、ご自身も施設の対応と供述の矛盾についての証拠もお持ちでいらっしゃいます。これは、民事訴訟も可能かと存じます。しかし、費用も時間もかかります。

悪質な事業者としての施設には、強固な姿勢で臨むべきではございますが、これについて懸案事項もございます。おそらくそのような事業者では、他の方ともトラブルをかかえているのではないでしょうか。
仮にその後施設を利用できなくなった（しなくなった）場合、お母様の介護をどうするかということです。

実際にお母様の介護をしている現場スタッフとの関係及び、お母様ご本人の様態によっては、現状維持か、さらに別の施設へ移動するかを考えなければいけません。お母様にも介護スタッフとの関係を再度確認されてください。

事務方が信用できないのであれば、第三者による法定代理人の選任が適当だと考えます。特に財産管理については、裁判所により選任された成年後見人がこれにあたることで、貴女への負担も軽減できますし、報酬は家庭裁判所が決めることになりますので、法外な請求はされません。ただし、申立てには少々、準備のための費用と時間、労力がかかります。また、お母様の判断能力の状態によっては、「保佐」「補助」の審判（後見よりも軽い状態）となります。
申立てをして審判がされるまでの数ヶ月間、財産管理に不安があるかと存じます。家裁に「審判前保全処分」を申立てることもできます。これは、後見等の審判申立てと同時に行いますが、これによって「財産管理人」を選任できます。早ければ、数日間で決定されます。
詳細は、最寄の家裁の家事相談でご確認いただければと存じます。
また、「法テラス」などの無料相談機関もございます。

介護施設とのトラブルは近年も多く見受けられておりますが、ご家族と事業者では対等に向き合うにはかなりご家族側に負担が生じます。入所契約の段階で、専門家の立会いや第三者後見人の選任などが望まれます。

本ケースの場合、施設の事務方の体質改善には時間を要することが想像されます。貴女若しくは旦那さんとお二人によるお母様の財産管理（年金や利用したサービスの支払いなど）・身上監護（介護サービスの契約や医療機関との対応など）は、今後さらにご負担が大きくなると存じます。
後見人等の申立ての準備をしながら、施設側の対応を記録に留めておかれるようにされてください。すでにご存知かと存じますが、証拠は書面や写真など第三者が見ても判別できるような形で残してください。

お母様への介護状況の変化による新たな展開と今後の施設側とのトラブルへの対応策として、専門家（弁護士・司法書士・行政書士など）による第三者後見制度の活用をおすすめいたします。


ご不明なところ、また、具体的な手続きのご要望がございましたら、小職までご連絡賜りますようお願い申し上げます。

回答日時：2009年12月20日(日) 09:13 JSTお礼のコメントを書く

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