生活保護を受けている高齢の女性が増加しています。
厚生労働省の調べによると、
65歳以上の生活保護を受けている世帯は2006年度でおよそ56万世帯。
1996年に比べて2倍近くまで増えているのです。
そのうちの8割弱が単身者で、さらにその中での女性の割合はおよそ25万人。
夫と死別・離別した人や、未婚のままパートなどの非正規雇用で働いてきたという女性の割合が多いとのことです。
よく、年金がどのくらいもらえるのかを計算する時に例として想定されることが多い「標準家庭モデル」というのがあります。
夫が会社員、妻が専業主婦で子供が2人・・・という条件が、統計結果の条件として書かれているのを目にされたことはありませんか?そのことです。
この試算結果をもとに日本の政策について話し合いが行われ、政策が決まっていきます。
逆に言うと、この「標準家庭モデル」に当てはまらない家庭においては、政策が不利になってしまう可能性があるということも同時に言えます。
さらに、先ほどの例のような標準家庭は最近の日本では少しずつ減少してきています。
少子化、単身者の増加、子供を持たない選択をしている夫婦など、生活が自由化してきているため「標準」というものが薄れてきているのです。
そのため、今の60代以上の女性にとっては、たとえこれまで仕事に就いてきたとしても社会的には男性有利の賃金体系・年金制度体系であったため、蓄えも少なければ年金を受け取れる額も少ないという状態になっています。
国民年金は最大で6万6000円。年金がもらえるのは2ヶ月に1度なので、この額で生活していくのはかなり厳しいと思います。
高齢女性が働ける場所は限られており、清掃業など過酷な業種が多いという点が気になります。
さらに、雇用形態は非正規雇用が圧倒的に多いため、低賃金で保障がなく、生活しながら貯蓄を殖やすということ自体が厳しい状態です。
また、現在の日本の年金制度が不十分である点も関係しています。
現代社会で急増している若者の非正規での働き方や未婚という生き方。
いずれ誰でも年齢を重ねていくことを考えると、
今、日本で起こっている「貧しいおばあさん」の問題を真剣に見つめていかなければ
少子高齢化の波が相まってさらに問題が深刻化するおそれがあります。
(続く)
※参考資料:日経新聞 2009年1月27日 夕刊「高齢女性 広がる生活難」より