遺言者が、自分が死んだ後の自分の財産や身分についてする意思表示で、遺言者の死亡とともに効力が生じます。
民法では以下のような決まりを定めていて、ただ書けば何でもいいという訳ではありません。
①遺言は、一定の方式に従って書かなければなりません。
その方式に違反する遺言は無効になってしまいます。法律用語で「要式行為」と言います。
②遺言は、遺言者の意思表示によって効果が発生します。
「相続させる・させない」として名前を書かれた相続する側の人の承諾は必要としないということです。そのような承諾が必要だとしたら、秘かに遺言を書いておくことなんてできなくなってしまいます。
③遺言は、2人以上の者が共同ですることはできません。
1通の遺言書に、2人分の遺言を連名でしても無効になってしまいます。片方が無効になるのではなく、両方とも無効になります。夫婦で遺言する場合など、別々に作成しなければならないので注意してください。
④遺言者は、いつでも遺言の全部または一部を自由に撤回することができます。
遺言者は、遺言を書いた後でも何回でも書き直すことができ、内容を変更したり撤回したりできます。ただし、撤回するときも法律に定められた方式で行わなければならず、この撤回権を放棄することもできません。
⑤法律で定められている事項以外の内容は法的には効力がありません。
遺言でできる行為(遺言事項)は法律で定められており、それ以外のことを遺言書に書いても法的な効力はありません。ただし、それらのことが書かれていたとしても遺言書が無効になるわけではありません。むしろ、感謝の言葉など家族を気遣う「想い」は書いた方がいいでしょう。
⑥遺言は遺言者に意思能力(遺言能力)が必要です。
未成年者でも満15歳以上であれば意思能力が認められていますので遺言をすることができます。
このように、遺言には法律上こまかな決まりがあり、守られていないと無効になってしまう場合もあります。せっかく書いた自分のメッセージが無効となってしまうのはとても残念なことです。
自分で遺言書を書くという場合でも、専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。