脳卒中になったら、リハビリはどのように進んでいくの?②

  • 2010年6月30日(水) 18:33 JST
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前回のコラムでは脳卒中になってから最初の流れについてお話しました。

続いて ~リハビリテーション病院へ~

脳卒中になり継続的にリハビリテーションが必要と判断されると、それを一定期間集中的に行なうための専門病棟(=回復期リハビリテーション病棟、以下回復期病棟)を有する病院へ転院することになります。リハビリテーション病院と名前がついていることではなく、この回復期病棟を有しているかがポイントになります。
ここでの転院・転床にはいくつかのパターンがあり、同じ病院の中に病棟を有する場合、系列病院でリハビリ専門病院を有する場合、その他周辺の他院(リハ病院)を探す場合に分けられます。



<回復期リハビリテーション病棟とは?>
まず関連職種がチームを作り、ADL(日常生活動作:前コラム参照)の向上、家庭への復帰を目標としたプログラムを作成する。これに基づいて基本的に365日出来るだけ間断なく、訓練室・病棟を問わず集中的にリハビリテーションを行なう病棟のこと。
病気・外傷の種類・重傷度によって入院期間に制約がある(除外される条件もある)。また重症患者の受け入れ割合(ある一定数以上の受け入れ)、そこからの回復度合い、在宅復帰率によって診療報酬に区分があるため入棟・退院(転棟)の時期に関してこれもある種の制約となっている。
ちなみに、人工透析をされている患者様の入棟は同じように診療報酬の問題でかなり難しい。

ここでリハビリテーション・在宅復帰に向けて関わるのは・・・。

医師(主にリハビリテーション専門医) 
      : 全身状態の管理、各部門の意思を集約し方向付けの決定
看護師 : 日常生活全般の援助、病棟内でのリハビリなど
理学療法士 : 身体の基本的動作の改善、ADL訓練など
作業療法士 : ADL訓練、さらに応用的で生活に即した動作の訓練など
言語聴覚士 : 摂食・嚥下(食べること)の訓練、言語・高次脳機能機能訓練など
医療ソーシャルワーカー: 患者様・御家族、医療機関、各種社会資源を結びつけ、
                 退院後の患者の社会生活を円滑に実現する援助など

その他 : 歯科衛生士、管理栄養士、臨床心理士などを配置している施設もある。



回復期病棟に移ると、チームの各専門家は患者様に必要な援助を評価した後カンファレンスを開きその方向性を決定します。さらに入棟の時点でおおよその退院時期がすでに定まっているため(上記の制約のため)、患者様・御家族はかなり初期から今後の療養生活についての判断を迫られることとなります(最初は当惑される方もいらっしゃります)
ここで病院職員は退院時期を逆算しながら準備を始めているのに対して、ご家族は多くの場合戸惑いを覚えます。それは患者様ご本人の病状の変化に対してイメージが湧かないので、今後の生活を思い描くことが難しいためではないでしょうか?
ここで提案したいのは、出来るだけお見舞いに通って、訓練を見学したり(ときに練習に参加したり)ご本人に必要な援助を体験したりしてして頂きたいことです。ご家族の方々も一緒にこのチームに参加して頂く事がイメージを作る大きな手がかりになるのでないかと私は考えます。


おおよそ3~6ヵ月間の期間の中で今後の療養生活へ向けての訓練が進み、同時に帰る場所の準備も進みます。自宅に帰る場合は介護保険の申請、家屋改修、サービスの利用の計画等準備のほぼすべてが入院中に行なわれます。また施設入所を検討される場合は、早い段階から問い合わせ・見学・予約などの手順をふまないと期限に間に合わないこともあるようです。
この間に万が一入棟中に体調を崩した場合、多くの場合一時的に一般病棟への転棟が必要になります。また、リハビリテーション病院によっては治療のため転院が必要になることもあります。診療報酬の問題で回復期病棟での治療には限界があるのです。


入院期間も期限近くなり、今後の療養先の準備が整うといよいよ退院となります。
ここまでの話から見えてくる現実は、病院はその患者さまの機能的回復を願ってはいても、それを待っていることを許されません。ここに、患者様・ご家族と病院側の大きな齟齬があるのです(各専門家は当然機能的な回復を目指して日々努力を続けていることを付け加えておきます)。


次は退院後のリハビリテーションについて書きたいと思います

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