創作話  「お店オープンしました。」

  • 2010年8月 1日(日) 23:53 JST
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心理トレーナーのかわさきです。

今日のコラムは、オリジナルの創作です。
何か感じてもらえると嬉しいです。





人の喜ぶ顔が見たい!!


そう思い続けていた僕は、ついに念願のお店をオープンした。



人と同じことをしても
同じものを扱っても面白くない。
人の笑顔を見て僕も喜びたい。。
そう思った僕は、扱う商品、お店のコンセプトを考えた。



どんなものを扱えば人は喜ぶのだろう。。
来てもらう限りは、やっぱり満足してもらいたい。


そして継続的にお店を維持できるものを扱っていたい。


なぜなら
急にお店がなくなったらお客さんに迷惑がかかるし
流行廃りでお店を作っても継続する自信がなかったからだ。



色々考えた結果
ひとつのアイデアが浮かんだ。


そのアイデアを形にするため、僕はかなりのリスクを負い
悪魔の契約を締結した。





欲望を扱うお店。


僕の作ったお店は、何でも手に入る。










権力


学力


不老不死


欲望を満たす為、ありとあらゆるものを取り揃えている。




ある人が邪魔だと言えば、その人を抹殺することも出来る。




・超大国の大統領になって、
核兵器のボタンを手に入れたもの。


・世界中の石油を自分のものにしたもの


・多くの人に悲しみを負わせる力を持ったもの


・酒池肉林のような生活をしているもの


・一国の経済を麻痺する大量の為替を操作したもの





すべて僕のお店のお得意さんになった。

しかも
人の欲望はとどまるところがない。



おかげさまでこの欲望ショップは大盛況


しかし不思議と自分のことばかりで
誰かのために・・・というお客はいなかった。





欲望を叶えた人からは、たくさんの笑顔をもらった。


欲望を叶えた人からの
笑顔が見れたからいいや。。



そう思い続けていた。




ひとつの問題が起こるまでは・・・・















客が増えるにつれ、
お店の前のゴミ箱がいっぱいになり始めた。



店で購入したもの以外に、それぞれが持ち込みで
ごみを持ってくる人も増加した。



このお店から出るごみは、かなり汚い。
触るな危険と表示されている。




ひがみ


ねたみ


虚無感


怒り


脱力感


執着




これら多くの生ごみが捨てられた。





捨てた後
再び欲望を購入していく。

店の売り上げには全く問題がないのだが・・・



これらごみは分別されていないため
さらにヘドロと化し、周りに悪影響を及ぼしていた。。




当然そのままでは引取りされないため
僕は、忙しい時間のなか分別していった。






ある日考えた。

ゴミ箱を置かないでおこうか・・・・



でも販売した限りゴミ箱を設置することは
義務だと思った。







そうだ!!!





細かく分別して捨てて来る人には、ポイントをあげよう。

きれいに洗浄してリサイクルできた人には
さらにポイントをあげよう。

ポイントがいっぱい溜まった人には
ささやかなプレゼントをすることにした。




ポイントを稼ぎに来た人は
本当にきれいに分別を始めた。


大きく分別する人。

さらに細かく分別する人。

面白いリサイクル案も教えてくれた。


きれいに分別をされるので
僕は本当に助かった。








しかし・・・・・




ごみが分別され、協力者が増えるにつれ、
欲望商品の売り上げが激減した。




お店の欲望が全く売れなくなってしまった・・・・




継続的に維持できるようにと考えた商品だったのに
お店を維持することも困難になった。




しかし客足が減ったのではないことに気がついた。


お得意さんは何も買わないが、
うだうだと世間話に来るようになったのだ。



彼らの多くは
欲望商品を購入したときの笑顔とは、明らかに違う
笑顔をするようになった。。




話を聞いてみると
ごみを整理しているうちに
ごみをうまく有効活用できる方法を思いついたそうだ。




自分の中にあるものに
ごみなんてない。


欲望を提供するのではなく
逆に欲望からでるものを預かりリサイクルをするほうが
たくさんの笑顔を見ることが出来た。






そう思った僕は、欲望のお店から業態を変え
みんなが分かち合い
ウダウダ言いあえる何もない空間だけの部屋として
リニューアルすることにした。




現在このお店にはゴミ箱なんて必要ない。
そして、室内は心地よい笑顔で満ち溢れている。


僕の求めていた笑顔は
これだったのかもしれないと思った。

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