1-7 机の表面
- 2011年2月18日(金) 19:18 JST
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- 投稿者:
- 尾崎 宗一郎
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「これって、もしかすると、、」
「おそらくそうです。この付近ですが、なにか置いてあったようにようですね。この辺の部分と
周りの部分の埃の量が違うようです」と伊勢は指差した。
「どういうことなのか教えていただけませんか?」地井敬介は心配そうに声を出し、
妻の恵子は隣で黙っている。
「早苗さんは、きれい好きとのことですから、部屋はよく掃除をされると思うのです。普通、机の表面を
拭くときは置いてあるものを片付けたあと、その表面全体をきれいに拭くはずですよね。
そして拭いたあとに元のように物を戻すと思うのです。ところが、これをよく見ると何か物を
置いていた部分があるようなのです。そこの埃のつき方とその周りのと違いがあるように見えるのです。
つまり机を拭いたあとに何かを置いていた。そしてそのものを何日後かに持ち去ったような」
「というと、どうゆうことなのですか?」と地井敬介は心配そうに言ったが、優子は言い出した。
「私もそう言われて思い出したことがあるのですが、以前にこの部屋にお邪魔したことがあって、
そのとき1台の黒色のノートパソコンが、たしかこの机の上に置いてあったと思います」
「早苗さんが、パソコンを持って海外に行ったということなのでしょう?」とキエは言い出す。
「でも、この机に置いてあったノートパソコンには、彼女が集めたお気に入りの嵐のシールを
飾っていて、普段は持ち出さないようなことを言っていたと思います」
「それは本当ですか?」と伊勢は優子を見つめた。
「だとしても、やっぱりご本人が持ち出したものでしょうから、問題ありませんよね」とキエは言ったのだが、
「いや、そうじゃないかもしれない」と伊勢はさえぎった。
(困りごとができたら電話 012007884 オナヤミハナシ)