3/11(金)に発生した東北地方太平洋沖地震により、東日本広域にて未曾有の被害がもたらされました。
この甚大な災害により被害を受けられた皆様に、心から、お見舞い申し上げます。
また、同災害により亡くなられた方、災害後の厳しい状況下のために亡くなられた方に、心からご冥福をお祈り致します。
地震発生から、既に一週間が経過しました。
中には、被災地にいる方々と、連絡をとり始められた方もおられると思います。
そこで、お伝えしたいことがあります。
今この時点での被災者に対して、してはいけないことがあります。
それは、
「こちらから無理に感情を引き出そうとすること」
です。
具体的に書くと、「大丈夫?」「辛くない?」「大変じゃない?」「苦しくない?」「寒くない?」「お腹がすいてない?」「泣きたくならない?」「怖くない?」「不安じゃない?」、etc、、、
これらの言葉です。
“こんな言葉は、言いたくて当たり前じゃないか!”
と思われるかたも居るかもしれません。
ご最もです。
でも、だめなんです。
なぜならこれらの言葉は、私たちが、私たちの心配する気持ちを解消するために、投げかけてしまう言葉だからです。
今の段階で、まだこれらの言葉は投げかけてはいけないのです。
それはなぜか。
人間は危機的状況に逢うと、本能的に五感を閉じるからです。
今自分が置かれている環境や状況を知覚したり、膨大な感情を全て感じようとすると、心が壊れてしまうのです。
これは、事故に遭遇した方が少しのあいだ、現実感を無くしてぼんやりしている状態に、とても良く似ているでしょう。
仮に今、被災者の方に上記の質問を投げかけたとします。
過酷な環境にある方であればあるほど、きっと「大丈夫」と仰られるでしょう。
今、被災地で耐えている方々は「心を閉じ、大丈夫だと思うことで、現状を乗り切ろうとしている」からです。
これは、被災地におられる方々の心が弱いとか、そんなお話しではないのです。
人間の心が持っている、自然な防衛機能とご理解ください。
心は、自分に起こった出来事と、それによってうまれた感情を、受け止める準備ができたものから順番に受け止めていきます。
その心の機能を尊重せず、無理やり感情を引き出すのは、暴力と同じです。
そう、そして、大事なことがもうひとつ。
被災者の方々に、ご自身の文句を共有ようとしないことです。
具体的に言えば「東京電力の原発は酷いよね」「政府の対応は遅いよね」「買い占めするのはやめて欲しいよね」「停電は困るよね」、などの言葉です。
被災者の方々は今、ライフラインの確保ができている我々よりも、もっと大変な状況です。
そんな方々に、我々の不満や不便を共有してもらったとしても、ただ心の負担になるだけです。
上記の事柄は、関係が親しい方であればあるほど、つい行動してしまいやすいことです。
ご友人、同僚、ご親戚、お付き合いされている方、ご家族、色んな関係の方が被災地におられると思いますが、関係性が近い方とお話しするときは、どうか、これらの事を思い出してください。
では、被災地にいる方に、どんな言葉を伝えればいいのか。
身の安全を確かめたいなら、
「からだに怪我はしていない?」
ただ、これだけで充分です。
そのあと、被災者の方が「怪我はしていないよ」と答えたなら、「そうなんだね」とだけお返事すればいいです。
もし「怪我をしたよ」と答えられたなら、「治療はしているの」と、あくまでも怪我をした事実に焦点をあててお話しを進めましょう。
被災者の方が、自分から他の出来事をお話ししてくるのでなければ、決して質問責めにしてはいけません。
また、被災者の方の状況についてご心配なされているのなら、
「今、どんなふうに過ごしているの。心配しているよ。」
これだけお伝えすればいいのです。
この言葉を受けた被災者は、今、ご自身が理解し、受け止め、説明ができる範囲で説明をするでしょう。
どうか、被災者の方のペースを尊重し、決して根堀り葉掘り聞き出すことは、今は控えて差し上げてください。
あと2週間前後か、それよりもっと後、最低限のライフラインが補給され凍死や餓死の危険が無くなる頃に、おのずと被災者の方々は感情の言葉を発するようになります。
閉じた心が、開かれるように。
凍った心が、溶け出すように。
どうか、その時に、質問を交えながら色んなお話しをして差し上げてください。
だから今は「あなたを心配しているよ」「心はあなたと一緒にいるよ」そんな言葉と心をお伝えするように、留めてくださいね。
ただし、この心の動きは個人差があります。
こちらから問いかけせずとも、相手の方が感情の言葉を自発的に発信するようでしたら、それはあなたに聴いて欲しいと思っているからです。
どうぞ、聴いて差し上げてください。
これから先、被災者の方々は心のケアを必要とするタイミングが必ず来ます。
あなたの大切な方が、あなたを必要とする時にお応えできるよう、どうか、あなた自身のセルフケアを充分になさってください。
被災地で今必死に生きている方々も大切な命ですが、あなた自身もまた、大切なのだから。
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