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回答プロ:公認心理士 / スクールカウンセラー / 研修講師 / コーチ 増田 進明
ご相談者:30代/女性
小学校1年男児の母の「天然ママ」と申します。
5歳児検診にて「行動に問題あり」とのことで去年の6月に専門機関に相談をしまして「ADHDの兆候あり」
との診断がありました。3回ほど診察(言語聴覚検査等)をした後結果をいただいた次第です。
特に知能に問題は無いとの事でした。
しかし、IQ値が90前後、ある課題に対しては84の数値が出ていました。
他のサイトなどでIQについて調べ不安になりました。[ADHD」の特徴を理解し、容認し今の症状の軽い状態を悪くしないように子供を暖かく育てようと日々自分に言い聞かせ今日までやってきましたが、先々の
事を考えるとやはり「学習能力」が気がかりで毎日宿題意外に自主学習を一緒に30分程度ですが続けています。
その中で思うように理解できていない事があると叱ってしまいます。そうすると子も「怒るからやらない!」と
いじけてしまう時も多々あり、いかにやる気を出させて続けるかが毎日の戦いとなっています。
小学校の担任の先生は「特別支援学級」でADHDの子供達を教えた事がある方でとても理解があり助かっています。当初は「子供達からAさん(うちの子)がコワイ・叩く・いじめるなどの声があり、少しづつですが話し合いをしています。」や、「子供達は最近慣れてきたのか、Aさんはそういう子なんだ、悪気があってしてる訳ではないんだ、クセ?でしてしまうんだ・・・と理解してきてます。」最近は「みなAさんが大好きなんです。一人の子がAさんはとても優しいんだというと皆頷いていました。」等、学校生活は皆子供達に受け入れられてもらえて涙が出る思いです。
ただ特徴として「忘れ物が多い」点で改善というか、対処が難しくどうしても強く注意してしまい、本人も
「どうしてオレってアホなんだ、アホだよなぁ、」「あれ?無くさないようにしまって置いたのに~」など
毎日毎日格闘しています。夫は子供の特徴も何も理解が足りない為「きちんとしろ!」「だらしない!」
「何でそうなんだ!」と、毎日怒り、子供はというといじけるか、暴言はいてゲンコされて泣く・・・の繰り返しで、そして私と夫が言い争いになる・・・の繰り返しです。
何度も夫と話し合いましたが息子を見下す程度で理解しようとする気持ちが感じ取れず結果として、「私が理解してれば大丈夫!」と自分に言い聞かせる感じになります。
これから我が子が非行に走らず正しく進む為には「まわりに理解されてる思いと自分に自信をつける」事だ
と痛感しています。そのひとつとして「学業成績」は特に重要と感じています。
人よりも遅れない様にやる気を無くさないようにと本当に感じています。
担任の先生は「そんなに心配なさらないでください。Aさんは授業中きちんと座って真剣に取り組んでます。
とても意欲があってたのもしいですよ」といってくれますが、先に先にいっていないと不安で、もし、理解できなくなったらどうしよう・・・との気持ちが先走ってしまうのです。
心の端では「やさしくて元気で人気者の今の状態でいいじゃない。多少成績したになったってたいした事ないよ」なんて思っていたり・・・。
でも、すぐに「ダメ!この子の為にはいい学校(近くの進学校)に進んで欲しい!」と決断するんです。
最後に気になっている「IQ値」についてなんですが、低い場合いくら努力しても身になりにくいのでしょうか?努力に勝るものはないと思いながらも、平均が100とすると低めの息子がちょっと不憫です。
何か、得策があるのでしょうか?
ちなみに私は小学校時代ほとんど自主学習した覚えがありません。親に「勉強しろ」と言われたためしがありません。当然成績も良くありませんでした。今となっては親がもっと教育指導してくれればもっと勉強が好きになってたのに・・・と攻める気持ちが多少あります。でも、成績良くなくても、友達にも恵まれ部活に明け暮れ楽しい青春時代を送れたことは幸せでした。
夫もエリートではなく一般社会人です。幼少時代は悪がきだったらしく学業にたいして多少コンプレックスが
あるのかないのか、よく「勉強できないといい会社に入れない」とか「勉強できねーのはダメだ」などと言います。
長々と申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
30代/女性 | 日付:2009年9月 2日(水) 00:54 JST | 閲覧件数: 2,426
公認心理士 / スクールカウンセラー / 研修講師 / コーチ 増田 進明
ご相談ありがとうございます!
内容、読ませていただきました。
お子様のIQがやや低いことについて気にかけておられるご様子ですが、
私はお母様がその事柄に関して、日々様々な「試行錯誤」をされていることがとても素晴らしいことだと考えています。
私は基本的には「教育に正解はない」という考え方なので、あまり「べき論」の提示はしていません。
価値観を固定して視野を狭めかねない、あるいは保護者を強迫観念に駆られさせかねない「これはダメ」とか「こうあるべき」といった教育論を語ることは避けたいと思っています。
ただ、「オススメ」はしています。
そして、私が「オススメ」していることを一番に実践されている方が、お母様ご自身だと私は思います。
それは何かと言うと、先に挙げた「試行錯誤をする」ということです。
子供とひとくくりに言っても千差万別であり、そしてひとりの子供においても時と場合によって、状態が刻一刻と変化しているものです。
ですから、そんな子供の個性や状態の変化に柔軟に対応していくこころがまえを持ち、実際に「あの手この手」を使ってアプローチをしていくことが非常に大切です。
そして、そういった柔軟な対応をしていくためには、その都度考えること、つまり「試行錯誤」が必要不可欠となってくるのです。
なにかマニュアルがあって、「こう育てればうまくいく」的なテクニックは、多少あるにはありますが、
それをそっくり鵜呑みにしてそればかりをワンパターンに子供に押し付けてしまうことは、むしろ危険が大きい気がします。
そういった先人や専門家の知恵はもちろん参考にしながらも、それを踏まえながら試行錯誤し、うまくいかなかったら反省改善をしていきながら、
我が子の刻々と変化する状況に対応するこころがまえこそがなによりも大切で、
そしてそれを誰よりもお母様が実践しているところが文面から伝わってきます。
そのお気持ちがある以上は大丈夫!だから明るく育児をしてくだされば、と私は考えます。
たとえばIQがやや低いことに関してですが、私が言うまでもなく、お母様がIQというものについて、
それが重要であると考える一面と、そうではないと考える一面をわきまえておられますし、その相反する価値観を知りながら、
では今の時点で我が子にはどのような接し方をしていけばいいのか、それを考えた上での結論が、「やはり、良い学校に行ってほしい」ということなのではないのでしょうか?
もちろん、「良い学校に行ったからといってなんなんだ」といった考えもあるということは、百もご承知のはずです。
良い学校に行かせたい、と結論付けてやっている試みが吉と出るかどうなのかなんて、誰にも100%保証できるわけはありませんが、
自分の子供の教育について、様々な価値観や意見をふまえて、見識を深め考え続けているお母様が、これからもその姿勢を続けていくのであれば、
その結果得られた結論はベストなんだと信じてほしいと思います。
(ひとりよがりな考えから生まれた教育方針ではないのですから、自信を持っていただきたいと思います)
ですから、これからも前向きに試行錯誤を続けていってください。
たとえば自主学習を30分させていることについて、これも考えた上での結論ですから大いに結構です。
子供がいじけてしまうことを望んで自主学習をさせているわけではないので、楽しい時間になるように試行錯誤してくださればと思いますし、
ときどき楽しい時間にできないときがあっても、日ごろから反省改善をこころがけているのであれば問題ありません。
そして、IQについては現時点で多少低くても問題はありません。
年齢を重ねていくうちにスコアが変化するものですし、お子様がいじけない程度に叱咤激励しながら、
学習していく習慣をつけるようこころがけていれば、着実に成長するものと考えてよいと思います。
科目によって徐々に得意不得意も出てくるでしょうが、
不得意科目は得意科目の足をひっぱらない程度でいいので補完させ、得意科目を伸ばすようにしていくことをオススメします。
苦手科目を得意になるまで学習させようとするのは非常に消耗的な結果を生みやすいので、得意科目を台無しにしてしまわない程度でOKだと考えてください。
(勉強ではありませんが、忘れ物が多いことについても、現時点では苦手なことであるわけですから、
そちらにばかり目を向けるよりも、お子様の良いところに目を向けて、そちらを伸ばすことに意識した方が建設的な結果を生みやすいです。)
幸い担任の先生が専門的な経験もおありの方ですから、その方の助言を尊重していただければと思います。
お父様の態度に関してはそういう態度をすることが本当に子供だけでなく自分のためになるのかを考えてほしいとは思いますが、
やはり「人は変えられない、自分なら変えられる」というスタンスで、不満はあってもだからといって夫婦で傷つけあう形にならないようなこころがけをしていただきたいと思います。
お父様に対しても試行錯誤をしながら、あの手この手とアプローチしていく必要があります。
たとえば、「専門家の意見では、この子のようなタイプにはこう接するといいみたいよ」と、担任の先生の意見をそれとなく伝えていくことを積み重ねていけば、
もしかすると効果があるかもしれない、と思えばそれをしていき、
しばらくやってみても効果が感じられなかったらまた考える、といったことを繰り返します。
野球やサッカーでたとえると、「ひとつのプレーが試合の流れを変えて、逆転勝ちしてしまった」という感じなのですが、あるときひとつのきっかけが、
がらっと展開を変えることがあるので、さまざまな試みをあまりストレスがたまらない程度に続けていくという姿勢こそが最後には大切になってくるのです。
文面を読む限りでは正直お父様には期待薄ですが、いつか流れが変わるかもしれない(お父様の態度が変わるかもしれない)と思って、
あの人はこうだからと決め付けすぎず、負担にならない程度にお父様にもアプローチは続けていった方が得策です。
長くなりましたが、あれこれ悩み、試行錯誤する行為こそが最大の教育効果を生む源泉になるんだということを理解していただき、
そしてこれからも試行錯誤を続けていく必要があるわけだから、先はまだまだ長いしストレスためないようにしていこう、といった「心の準備」をしていただいて、
なによりもお母様が楽しく育児ができるようにしていただけたらと思います。
回答日時:2009年9月13日(日) 07:21 JST
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心が和みました。有難うございました。
「試行錯誤」
これを続けていくことで「あーなんとなくいい感じかも」って気がつくんですね。
最近は「自主学習するよー」って言うと「はーい」といって机に向かいます。
今までは1時間とか問題を理解できるまでしていましたが今は「子供の集中できる時間は?」に切り替えました。
そして「30分」に。
今はなんとなく安定しています。これからもストレスにならないように「試行錯誤」していきたいと思います。
| 30代/女性 | コメント投稿日:2009-09-14 |