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介護施設内での父の骨折

ご相談者:50代/男性

こんにちは。はじめまして。宮崎県M市の者です。これは私と私の母からのご相談ととらえて下さい。

さて ご相談内容は私の父 (85歳)の老人ホーム施設内でのケガ(骨折)の件です。父は去年12月23日に特別養護老人ホームに入所いたしました。要介護認定は「4」です。手・腕はまだ何とか使えますが、歩行はもちろん寝返りさえできない状態で、ほとんどの動きは介護です。認知もあります。
先月11月9日、施設から母の方へ電話がありました。「左腹部に痛みを訴えておられますから病院を指定して下さい」と。11月10日、病院での診察結果は「左肋骨の6番7番8番9番の4本が骨折、左血胸、全治2~3ヶ月」でした。母も私もかなりの衝撃を受けました。後日 施設側との面談では「スタッフ一人一人の聴き取りや検証をしてみたが全く原因はわからない」とか、「父が車椅子の手すりに寄りかかって自分で骨折したのでは」とか、施設には全く非が無いような話をされました。私たち家族にはその話はとても解せませんでした。それを主張しました。
2回目、3回目と施設側との経過報告面談ではそのような状況でしたが、しかし先日11月28日の4回目の面談の時に初めて、「今回の骨折は確かに介護行為の中で起こったのでしょう」と、介護主任さんの口から申されました。そして「今後このような事がないよう気をつけます」という事なのですが、これでこの1件は終わりになるのでしょうか。
骨密度値110%の父の正常なあばら骨が4本も同時に折れるにはかなりの力が必要です。今回の事で本人はもとより、家族も心を痛め、施設に懐疑の念を抱き、父にとって最後の楽園が地獄のようで、82歳の母はやつれ、こうなるともういたたまれない気持ちです。父の認知が無かったら誰がやったかすぐわかるのですが…。
施設側のあまりの責任意識の低さと対応には戸惑いを覚えます。私自身は実家とは別の町で整体療術をやっておりますが、患者様に傷害や事故を与えた場合には賠償責任補償を取るようになっております。幸い私の院ではそれはゼロですが、今回のような場合、施設に賠償責任補償を取ってもらう事はできないものでしょうか。(施設側からはそのような法律上のお話等は今のところ全く出ておりません)
以上です。どのように対処したらいいのか、アドバイスをお願いいたします。
またこれが施設内虐待であるならば、どのように対処したらいいのかも教えて下さい。

50代/男性 | 日付:2009年12月 2日(水) 22:56 JST | 閲覧件数: 10,439

詳細な事故報告書の書面を入手してください

永井 隆一

はじめまして。永井でございます。
ご相談内容を拝読いたしました。
お父様のご様態がたいへん心配ですね。
介護施設内で事故が発生した場合、施設側は市に対して「事故報告書」を提出しなければいけません。この報告書を必ず確認してください。また、治療に当たっている医師とも相談し、この報告書のとおりの内容が妥当かどうか検証してください。また、介護施設向けに責任賠償保険がございますが、任意保険なので加入している否かは不明です。
介護「事故」の場合ですが、この場合は施設側に民事上の賠償責任が発生します。
介護職員が、利用者に対する介護過程で利用者にケガを負わせてしまった場合、ケガを負わせてしまった介護職員はそれに対する賠償責任が発生します。そしてその職員を雇用していた施設側も賠償責任を負うことになります。使用者責任とは「使用している人間(ここでは「雇用された介護職員」が「使用されている人間」に該当)が事故を起こした場合、その使用主(ここでは施設の責任者)も責任を負う」という意味です。職員の不注意によって利用者が転倒によって骨折したり誤嚥(飲食物でないものを誤って飲み込むこと)によって負傷したような場合、施設が契約上の安全配慮義務を怠ったとして損害賠償を請求することが考えられます。 施設側は介護の専門家であるといえますし、施設と利用者はケアプランと契約で事故の回避義務と予測義務を負っているといえます。もっとも、職員の関与していないときなど、事故の予測が困難な状況下で事故が発生した場合は、必ずしも施設の責任を追及できるとは限りません。施設の責任者に説明をしてもらったけれどが、それでも納得がいかない場合は、市区町村の窓口(福祉部介護保険課)か国保連(国民健康保険団体連合会)に問い合わせて、相談することがいいと思います。そこでも、十分な対応ができなかった場合は、法的な手段をとるか、そのような相談に応じてくれる市民団体に相談する方がよいと思います。介護事故の判例については、まだ件数は少ないのですが、深刻な問題とされています。
次に、職員による故意の場合、いわゆる「高齢者虐待」という場合です。これによって傷害を負っている事から、「傷害事件」となります。この場合は、刑事事件となります。業務上過失傷害或いは殺人未遂の疑いもかけれるかもしれません。

いずれにしても、施設側にはご家族に対する詳細な調査報告をする義務がございます。これを書面にして求めたうえで、結果により対応されてください。さらに真摯な対応がなされない場合、訴えによることも手段のひとつしてご選択ください。

ご不明なところ、また、具体的な手続きのご要望がございましたら、小職までご連絡賜りますようお願い申し上げます。

回答日時:2009年12月 6日(日) 14:38 JST

永井隆一先生 こんにちは。宮崎県M市の者です。
この度は まさに「丁寧で親身な」そして「明確な」ご回答をいただきまして、本当にありがとうございました。
母とともに、感謝申し上げます。
私の頭の中でおぼろげに漂っていたものが一条の光でともされ、
なんと力強く感じたことでしょう。
自分の思い(懐疑や戸惑い)をはっきりさせるためにも、まず何をどうすればいいのかが具体的に示されて
私は勇気をいただきました。
年老いた父母の前に動けるのは私一人ですから、ひとつひとつしっかりと進めて行こうと思います。
またどこかで壁にぶつかりましたら、ご相談させてください。
よろしくお願いいたします。
この「悩み辞典」に、そして永井先生にめぐり合った事を、心から嬉しく思います。

横浜戸塚で33年、東京港区で15年生きてきた私です。銀座までマウンテンバイク(自転車)で6分。山野楽器のCD売り場(フュージョンコーナー)には毎週行っておりました。郷里(M市)でまもなく3年です。

| 50代/男性 | コメント投稿日:2009-12-07 |

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