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回答プロ:公認心理士 / スクールカウンセラー / 研修講師 / コーチ 増田 進明
ご相談者:20代/女性
今、現在、何が正しいのか、今後の生活について迷っています
私は、悪いニュースの多い世の中を改善したいという願い等から「先生」の仕事に憧れてきました。家庭の経済的な事情から大学進学は難しく、高卒後は上京し、働いて貯金を貯め、その後通信制の大学で勉強しながら、働き「保育士」を目指してきました。
毎日、仕事とレポートに追われ、乳幼児の実態や保育の現場がよくわかっていませんでした。
今年、保育所実習と施設実習に行きましたが、保育士の方からいやみを言われたり、キツイことを言われました。
保育所実習は一人でしたが、施設実習は他校の実習生もいて、保育士の先生方に厳しさに落ち込んでいる人も多かったです。
他校の人とも話しましたが、「あんなきつい言い方しなくても」「機嫌が悪いから」「実習は保育士を育てるわけだし、子どもたちがメインだから厳しくて当然。私たちが積極的に動かなかったから私たちのほうが悪い」など、意見は様々でした。
私も勉強不足な状態で現場に入ってしまいましたし、幸い事故や怪我はありませんでしたが十分反省しなくてはなりませんでした。自分の実習のありかたは、自分ではよく見えてなく、反省することも多くありました。 保育士の方の言葉こそきつかったとはいえ、まちがっていたのは自分の方かと自己嫌悪におちいったり、きつい言葉を思い出してうらんでしまったり気持ちが矛盾しやりきれない思いです。そして保育士として子どもに深い愛情を自分はそそいでいけるのか、保育士の先生にどうしても心の中で反発を覚えてしまう私は人としてどうなのか、保育ができるのか、と考え、保育士の仕事をあきらめようとも考えました。 ここまできたのだから卒業はしたいと思います。今アルバイト中ですが今後の定職はボランティアで経験した福祉系か一時託児所等を考えていますが、どの仕事にしろ大変ですし、実習の時と同じことがおこるとは思います。 仕事をし、子どもたちを見守っている中に 実習生が入り更に忙しくなった中、とてもお世話になりましたし、実習を受けさせていただいたことに感謝しなければならないと思います。
けれど、先生方のキツイ言葉には数ヶ月たった今も残りうつ状態です。 今まで社会問題等に関心はありましたが 当の自分はどうだろうと自己嫌悪になります。指示待ち症候群なところや、逆ギレ(表には決してだしませんが心の中ではよくあります)するところがあり、幼稚さがぬけません。 今まで生きてきていじめをうけたりそれなりに人生経験はあるのですが、 人からのひとことや言葉に落ち込むことがあります
これからも同じことがあるとは思います。こうした中での心の対処方など教えていただけたらと思います。
20代/女性 | 日付:2009年12月15日(火) 22:19 JST | 閲覧件数: 2,474
公認心理士 / スクールカウンセラー / 研修講師 / コーチ 増田 進明
ご相談、ありがとうございます!
内容、読ませていただきました。
①まず、これは保育士に限らず、現場の「厳しさ」について、
実習の場面でベテランの保育士がどのように伝えていくか、その指導法については、
一般的な流れでは、若手の保育士の方の資質や状況に応じて行うことが大切とされています。
厳しくした方が燃える人もいますし、ほめて伸ばすタイプもいるでしょうし、
またそのときの心境などのタイミングによって、厳しくしたり、大目に見たりを切り替える必要もあるでしょうから、
その辺の臨機応変さが大切で、
本当に若手の育成をしたいと考えている管理者であれば、その辺のことは弁えている必要があると思います。
そして、同じ指導をしても受け取る側の資質やそのときの心理状態によって左右されるわけですから、
複数の実習生を一律に全体指導しなくてはいけない場面などは、必ず人それぞれ「合う、合わない」が出てしまうことになります。
つまり、正しい指導、正しくない指導というようなものさしは非常にあいまいなものですし、
もしどちらが正しい、どちらが悪いという判定をするのであれば、
当然若手の立場が弱い人たちの方が、いろんな理由を付け加えて、だから君たちが悪いということになりがちですから、不毛なことですらあるかもしれません。
ですから、そういう判断基準はとりあえず手放して、
誰が悪いのでもなく、たまたまご依頼主様のそのときのタイミングとして、
指導が「合わなかった」という感じでとらえた方がよさそうです。
②また、いやみを言ったり、むやみにきつく言ってきたりする割には、
その後なにかフォローを入れるといった、なにか指導に理念があり、一貫性を持って当たっているという
感じではない様子ですから、
単に業務に忙殺されていたのかわかりませんが、
自分の人間性の低さ、保育士としての至らなさを、現場の厳しさというものにすりかえて、
そのような言動をしていただけであることが多分に見受けられます。
そんなのは本当の意味での厳しさでなく、単に先輩方が立場という有利性に甘えているだけの話です。
(もしかして深いお考えがあったのかもしれませんので、どのような考えに基づいて、
そのような言動を取ったのか、その程をうかがってみたいと思ったりもします。)
私の持論としては、現場の保育士が活き活きとしていることが、
最も子供たちにとって良い影響を与える、優先順位の高いことだと思いますので、
子供たちをメインに考えているのであれば、そのような職場雰囲気を悪くする言動は、
まさに本末転倒な話で、矛盾していると感じます。
(ただ、当然人間は完璧ではないので、ベテランの保育士であってもまだまだである、
という感じでとらえていただければと思います。)
私も法務教官の1年目のときの研修(3か月間あります)では、
教官がむやみに厳しいだけの感じがして、学生気分から切り替えさせたいという気持ちが強かったのだと思いますが、
私としては萎縮してしまって積極的になれず、
結果的に不完全燃焼で終わってしまった感じでした。
その一方で、5年目のときの研修(こちらも3か月間あります)では、
厳しいは厳しいのですが、「鍛えてやる」、「成長してほしい」という感じが指導教官から
感じられて、強く叱責されたりもしましたが、
結果的に非常にがんばれた良い研修であったという感じがしています。
そういった意味では、ご依頼主様の憤りの気持ちなどは私の経験と通じるものがありますし、それが人間らしい自然な感情だと思います。
もちろんそんなつらい経験もあとになって感謝に変わればそれがなによりとは思いますが、
悔しい思いを無理に切り替えようとしたり、自分がもっと広い心を持たないとだめだとか、
そういった考えに無理やり持っていこうとしたりすると、
それ自体が強迫観念のようになってストレスになりますから、
心がけとしてはすばらしいお考えとは思いますが、その辺はほどほどにしてみてください。ほどほどで大丈夫です。
①、②をまとめると、
要はご依頼主様が実習された職場の指導法が、
たまたまタイミングとして合わなかっただけなので、
ご自身が自己嫌悪になる必要はありませんし、
また、指導者も人として保育士としてはまだまだ至らないところが多いひとりの人間であって、
その言動に対して、マイナスの影響を受ける必要はありません。
さて次に、今後もきつい言葉をあびせかけられたりすることがあったときに、
どうしたらよいか、についてですが、
理想を言えば、それらのお言葉をありがたく拝聴し、
感謝の気持ちをもって今後に活かす、というところなのでしょうが、
なにせ伝え方がきついものですから、それが難しいと思います。
(1)私自身はきつい言い方をすることはあまり感心しないというか、
もっと良い伝え方を考えて実行してみてほしいと思うタイプなので、
基本的にきつい言い方をする人の意見はうわべだけで、中身はまったく聴いていません。
「おまえのことを思って、どうしても伝えたいからここまで言っているんだ、
もしオレの気持ちを受け入れてくれて、その結果おまえに一時的にでも不利益なことになろうものなら、
オレは全力でその埋め合わせをするくらいの覚悟があるから、どうかこれだけは聴き入れてくれ!」
くらいの想いが伝わるような感じであれば、相当きつい言い方でもいいと思いますが、
まさかそこまでの決意はないでしょうし、おそらくたいていは感情まかせに言い放って、
「そのような言動をしたら、相手にどのような影響を与えるか」なんてことは考えていない、
要するに配慮と決意に欠けた、無責任な発言でしかないわけです。
その程度の発言にふりまわされるのはもったいないので、
私は表面的にだけは受け入れて、心の中では無責任な発言として聴き流すようにしています。
すこし付け加えるなら、その無責任な発言はスルーして、その人にも良いところがあると思うので、
そこに目を向けてみることをするといったことはするときもあります。
(特に社会人当初はそんな感じでやっていましたが、現在は多少は成長してきたのか、
だんだんと謙虚さが増してきた感じもあります。)
(2)あとは、「こころの準備」をしておくことがよいかと思います。
人はいきなりうしろから大声を挙げられたらびっくりしますが、
「今から大声出すよ~3、2、1…」とカウントダウンして、こころの準備ができた状態であれば、びっくりしません。
ショック(ストレス)が小さいわけです。
ですから、「今後きついことを言われることがあるだろうけど、気にしないようにしよう」というようなこころがまえをあらかじめしておく習慣をつけることは有効だと思います。
私自身は少年院の先生という仕事がどんなものか、ほとんど想像できないままの状態で始まりましたが、
「大変だろうけど、まず1年はとにかくなにがなんでも続けよう」
「先輩の言っていることに疑問を感じても、それは自分が未熟だから感じるだけの勘違いかもしれないので、まずは受け入れよう」
というこころの準備をしていたことを覚えています。
「少年院の先生なんてあの人には無理だと思ったよ」なんて思われたくなかったという意地もありましたが、
やはりあらかじめ準備していたことがよかったと思います。
(1)、(2)をまとめますと、
きついことを言われたら、理想は完全受け入れなのですが、
理想ばかり言っていても仕方ありませんし、実際ほとんどは感情任せの無責任な発言です。
のちのち長く残るような思いをするよりは、聞き流すことの方が全体としては賢明だと思いますので、
そのくらいの気持ちでいてくださればと思います。
そして、こころの準備をしておけば、いざ実際起こったときに、それらのことを
「織り込み済み」としてとらえることがしやすくなると思います。
最後に、私からはどちらかというと、「考え方」のお話をしましたが、
そういった「理屈」でなく、
たとえば睡眠、食事などの生活リズムの改善、入浴、呼吸法、アロマ、音楽や適度な運動を活用するなど、
理屈でなく「体」の五感に働きかける方法でホルモンバランスを改善することによって、
それらの「考え方」がしっくり受け入れられやすくなるということも往々にしてあるものです。
体調が最悪のときに、「プラス思考でいきましょう!」と話しても、
「それができないから困っているんじゃないですか」ということになりがちですが、
体調がとても良いときに同じ話をすれば、
「なんかできるような気がしてきました!」ということにもなるのです。
それらの改善方法は他の専門家の方がいらっしゃいますから、そちらを参考にしていただくとして、
「こころ」と「からだ」のバランスを保ちながら、より良い状態で夢に望んでいってくださればと思います。
私も1年目はストレスで8キロ痩せましたし、なにごとも最初は大変ですが、
だんだんと慣れてくるものですし、
そうなってきたらあなたのようなお心をお持ちである方こそが求められる人財だと思います。
ともに人に携わる人間として、成長していけたらと思っています。
私もがんばります。
長文になりましたが、読んでいただきありがとうございました!
回答日時:2009年12月24日(木) 02:22 JST
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とてもていねいなお話と、ご自身の体験談もお話してくださり、ありがとうございます。
何度も読みかえさせて頂きました。うまく表現できませんが感謝の気持ちでいっぱいです。
ベテランの保育士もひとりの人間であるということが理解できました。 何でもこなせているベテランのように見えましたが、迷いや課題、悩みを日々抱えながら、保育士として仕事をされているのだと改めて感じました。アドバイスを頂いたように きつい一言を気にし続けるよりも、その人の良さを感じていきたいと思います。
子どもたちを取り巻く環境はあまり良いとはいえないと思います。私はまだまだとても未熟者ですが、子どもたちと接する仕事を目指したいと思います。
また、心と体のバランス、体調管理も整えていきます。
本当にありがとうございます
| 20代/女性 | コメント投稿日:2010-01-07 |