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回答プロ:公認心理士 / スクールカウンセラー / 研修講師 / コーチ 増田 進明
ご相談者:40代/女性
おはようございます。初めまして。mistyというニックネームです。どうぞよろしくお願いします。
私は40代後半で離婚歴があります。現在両親と同居、高校2年生の息子がいます。なお、同じ家に妹が、やはり離婚して戻って来ており、妹の娘(高1)も同居しているというややこしい家族形態です。今回ご相談したく思っておりますのは、この高校生の息子のことです。
息子はいわゆる落ちこぼれで、低学力に悩んできました。中学卒業後進学も危ぶまれましたが、どうやら地元の公立高校に合格しました。しかし、この高校は低学力の子も受け入れてくれる代わりに生徒指導上問題のある子どもも多く在学し、息子はこの学校の雰囲気やクラスメートになじめず孤立しがちでした。もとからあまり外交的ではなく、家でTVゲームをするくらいしか楽しみがないというのも問題なのですが、だんだんと「きもい」「うざい」「変な顔」「暗い」「しゃべらない」と言われるようになり、完全に学校が嫌いになってしまいました。勉強にもついていけない事が多く、授業をまじめに受けてノートは取っているので、平常点でどうにか赤点を免れている状態です。今の所就職といってもなりたい職種がなく、進路指導では進学を進められましたが、本人は勉強が苦痛でこれ以上何も習ったりしたくない、かといって就職に向けて何か資格を取るのもいやだ、だからどうにか卒業したら清掃会社でもゴミ拾いでもトイレ掃除でもいいから働くことにする、と言っています。親としては、できたらどんな大学でもいいから進学して、その時点で就職について考えてほしいのですが、本人は学校のストレスでもう勉強すると苦しいだけといいます。クラスメートに対する嫌悪感から、最近は「誰でもいいから死ね」「誰か殺したい」と言い出し、ゲームでストレス解消するしか生き甲斐がないと言っています。進学してほしいのですが、これ以上のストレスは本人のためにならないかとも思い、迷っています。息子が幸福になるためには、これからどうしてやるのが一番なのか、どうぞお知恵をお貸し下さい。よろしくお願いいたします。
40代/女性 | 日付:2009年12月26日(土) 06:16 JST | 閲覧件数: 3,762
公認心理士 / スクールカウンセラー / 研修講師 / コーチ 増田 進明
ご相談ありがとうございます!
内容、読ませていただきました。
他の専門家の方にも同様のご相談をされているご様子で、
そちらでは主に今までのご子息との関わり方を振り返り、
今後の向き合い方を考えてみてはどうか、という感じの内容であったかと思います。
少年院の生徒の中にも、母親との関わりに対してわだかまりを抱えている生徒がいます。
たとえばがんばった自分を認めてほしいのに認めてもらえない、
あたたかい言葉をかけてほしいのにそうしてもらえない、
そういったいわゆる「愛情飢餓感」が強い生徒に対しては、やはり母親自身が向き合っていくことをしていく必要があります。
今までの親子関係のたな卸し(じっくり振り返ってみること)は、今後もしてみてください。
それが優先順位としては第一になると思います。
ただ、ご子息も成長していますし、文面からはお母様との関わり以外にも、
社会の中で認められ、愛される存在になりたいという、より広い範囲において自尊感情を満たしたい欲求が見られます。
ですのでお母様が今後どんなにご子息のことを認めていったとしても、それだけではご子息に不足感が残る感じかもしれませんから、
お母様におきましては、過度のご負担にならないようにしていただき、
家庭内と家庭外(つまり社会)の両面で、ご子息が自尊感情や生きがいを感じられるようなアプローチをしていってください。
たとえば「息子が幸福になるには」というご質問に関してですが、まず幸せの定義から申しますと、
「幸せ」というものは、極端な言い方をすれば「自己満足」のことであり、
たとえばとてもみずぼらしい、周囲から見たらみじめな生き方をしているように見える人でも、
その人がたとえば誰かに愛されていたりしていて、心が満たされており、「私は幸せだ」と心の底から思えているのであれば、
その人は誰がなんと言おうと幸せなわけです。
(よく幸せとセットで使われる言葉に「成功」というものがありますが、これは周囲の第3者から見て、「結果を出している状態」ことであり、
たとえば先に挙げた「私は幸せだ」と思えている人がセールスマンだとして、売り上げを全然上げていないのであれば、
その人はたしかに「幸せ」なのかもしれませんが、「成功」しているとは言えません。幸せと成功は明確に区別されています。)
ですから、ご子息が自分にとっての幸せがなんなのかを明確にして、それが実現する方法を見つけて実践していけば、幸せに近づいていきます。
具体的な流れとしては、
①まず自分が「幸せになりたい」と思っていることを自覚する
②幸せになるための「学び」をする
③学びを活かして、実際に「実践」する
という感じです。
これは少年院の生徒にしてきたアプローチと同様なのですが、
①のように、ときとして人は日常の生活に流されて、
「自分が幸せになりたいと思っていて、今日という日もどうせならそれに近づくような生き方をしたい」
といった、よく考えたら当たり前の考えさえも忘れて生きてしまっていることがあります。
特に日々鬱屈した気持ちで生活していると、すっかり見失っている感じです。
ですからまずは自分が本心では、幸せになれるものならなりたいと思っていることそれ自体に「気付く」ことから始めます。
次に、②に関しては、要するに「ではどうしたら幸せになれるのか」ということについて、学ぶ(知る)わけですが、
これは一番説得力があるのは「統計」だと思います。
心理学でも社会学でも、どういう人が幸せになれているのかといった、人間がとても関心があるものについては、
当然学者の方々も関心があるテーマなので、研究し、それ相当のデータを集めているわけですが、
これら統計といった科学的根拠がある情報であれば、ご子息にとって説得力があると思います。
フツウの勉強は嫌いでも、幸せや自己実現に関する情報であれば、学んでみる価値はあるのではないでしょうか?
高額のセミナーのようなものに参加したり、信仰に関わる学びをすることは、良いものももちろんたくさんありますが、
ご子息によっては抵抗を感じたりする場合もありますので、まずは心理学などの文献からひもといてみてください。
難解なものでなく、「要するにこういうこと」とかみくだいてくださっているもので、
単なる精神論や教訓というものでなく、統計などの根拠があるものがいいと思います。
ちなみに私が19歳のときに読んだ本で、「オプティミストはなぜ成功するか」という本があるのですが、
これはどんな人が自己実現ができているかについて、心理学者がデータを集めたものを文章にしたものです。
著者はマーティン・セリグマンという方ですが、この方は後にアメリカ心理学会の会長になっています。
内容はきわめて簡単に言うと2つのことが書かれています。
ひとつめが、「どんな人が自己実現をしたり、幸せになれているのか」についての研究をして、
結論が「考え方がプラス思考な人」となったという内容です。
そしてふたつめは「ではそのプラス思考は、遺伝などの先天的なものなのか、そうでないのか」についての研究をして、
結論が「学習性のもの、つまり後天的に身につけられるもの」となったという内容です。
つまり、自分の人生をよりよくするためには、プラス思考をこころがけることが非常に大切で、
そしてプラス思考は日々のこころがけによって、徐々に身についてくるものだということが、科学的に書かれている本です。
これを盲信しなさいというつもりもありませんが、
データを集めた結果そういう結論が導き出され、その論文を書いた著者が後にアメリカ心理学会(莫大な組織です)の会長になっていることを
考えると、けして軽く見ることはできない情報だと思います。
そういった「学び」をしていけば、
「じゃあ自分の人生、今後どうなるかなんて誰にもわからないけど、ただ否定的なことばかり言っているのではなくて、
すこしでもいいから、前向きな考え方をするようにこころがけてみよう」という感じになりやすくはなると思います。
③のように、「実践」をしていけば、「練習効果」というものがだんだんと出てきます。
自転車の運転と同じで、最初ほど転びやすい(つまりここでは、前向きにがんばろうとしたけどやっぱり後ろ向きになってしまった、ということ)ですが、
だんだんと慣れてくると、めったなことでは転ばないくらいバランスが取れるようになってきます。
(もちろん、いくら運転がうまくなっても、転ぶときは転びますが、それは誰でも同じです)
※ ちなみに、まったく科学的根拠はない文献ですが、少年院の生徒に好評だった本で、
浅見帆帆子さんの「あなたは絶対運がいい!」という本は、プラス思考についてわかりやすく書かれています。
女性向けの本なので、お母様ご自身がお読みになってみるのもいいかもしれません。
男性の場合は「科学的根拠」といった「理屈っぽい」情報に対して納得しやすいところがありますので、
お母様が真剣にご子息と向き合うことと同時に、そういった幸せに対する学びと実践をしていくようなアプローチをしてみてください。
もう一度確認しますが、先に挙げたように、まずはお母様とご子息との今までの関わり方をたな卸ししてみることを先にした上での話ですので、
順序が反対にならないようにお気をつけください。
回答日時:2010年1月 5日(火) 03:13 JST
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こんにちは。ご回答ありがとうございました。メールで回答をいただけたというお知らせが来ていなかったので、お礼のコメントが遅くなって申し訳ありません。
子どもに対する関わり方を見直すとともに、幸福になれるための学び、というものについて模索していきたいと思います。セミナーとか宗教には抵抗ありますけど、ご紹介いただいた本をさがして読んでみたいと思います。ありがとうございました。
| 40代/女性 | コメント投稿日:2010-01-11 |