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回答プロ:公認心理士 / スクールカウンセラー / 研修講師 / コーチ 増田 進明
ご相談者:40代/女性
はじめまして。
夫婦と高3の息子と中学生の娘、そして生活は別ですが、私の両親と同居しています。
ご相談はこの息子のことです。
高校2年頃から学校の欠課や遅刻早退が多く、たびたび注意してきました。
自由な校風の学校で、進級に差し障りない程度なら自分の責任ということで
学校から連絡もなく、特に叱られることもないようです。
アルバイトもしていますが、学内での成績も悪くなく、無断外泊することもないので
そこまで心配はしておりませんでした。
去年、母の部屋にあったお金が数万円無くなっているのが
息子の仕業とわかりました。
泣いて謝り、アルバイト代から返済させました。
ところが先日、今度は母のキャッシュカードを持ちだし(暗証番号も近くに紙に書いてあったそうです。)
20万円近いお金を引き出していたのです。
通帳を記帳して発覚し、引き出している支店の場所から息子に間違いないということで
問いただして発覚したのです。
何に使ったのかと聞けば、パチンコだと・・
学校をさぼっていたのもパチンコ。
バイトしたお金、お年玉や誕生日のお金、おまけに母から盗んだものまで
すべてパチンコに消えていたのです。
遊んでいる間は罪の意識もなくどんどん使ってしまったとまで言いました。
私たちはもとより、両親の悲しみは見ていられないほどです。
アルバイトしてお金を稼ぐことの大変さはわかっているだろうとか
自分を可愛がって、しょっちゅう夜食を用意してくれている祖父母に対して
感謝の気持ちは持っているだろう・・と思っていたのが
こんなことをしてしまうとは本当に情けなく、どうしたらいいのかわかりません。
れっきとした犯罪を犯したこと、家族の信頼を失ったこと、
パチンコやギャンブルから起きる問題点。
さまざまなことを話合い、現在は真面目に学校へ通っています。
思春期の難しい時期はありましたが、とくに性格に問題もなく
人間関係もとても良好です。
それだけにギャップが非常に恐ろしく感じます。
パチンコをしている時に何も考えられなくなると言っていることや
お金を見境なく使っていまっていることから
ギャンブル依存症というものになっているのではないか
とも思ったりもします。
今はアルバイトのお金も返済できるまでは私たちが管理しているので
まっすぐ家に帰ってきていますが、
これから大人になって自分でお金を管理するようになったとき
また同じようにお金の無心、借金などを繰り返すのではないかと心配なのです。
親として何が不足していたのか、何を与えてやればいいのか
本当に途方にくれています。
私たちができること、しなければいけないこと、助言いただければと思います。
乱文お許しください。
40代/女性 | 日付:2010年2月 4日(木) 17:25 JST | 閲覧件数: 5,808
公認心理士 / スクールカウンセラー / 研修講師 / コーチ 増田 進明
ご相談ありがとうございます!
内容、読ませていただきました。
ご子息のギャンブルから起きる問題点について、
親として何が不足していたのか、
また、今後どうしていけば良いのかというご相談と拝察しますが、
まず何が不足していたのかという点では、教育や育児においては、
そもそもどこからが不足で、どこからが充分なのかの基準は非常にあいまいなものですし、
今回はおそらく想定を越えた出来事であったでしょうから、
前もって子供が起こしうるあらゆる問題について対策を講じておくことは非常に困難ったと思いますし、
ご自分に原因があったと過度に感じる必要はないように思います。
それに文面を見る限り、日ごろからご子息といろいろとコミュニケーションを取っていたりしたでしょうから、
私には特に不足点は感じられません。
ですので私としては、今後お母様がどうしていけばいいか、
こころがまえの部分と、具体的な行動の部分とにわけてお答えできればと思います。
まず、こころがまえとして、
依存症の定義について、
本人の意思の力ではやめられない状態のことを依存といいますが、
こうなると本人ではどうにもなりませんから、周囲の人のサポートが必要となります。
もしそのような状態だと判断されるような感じであれば、
まず本人が自分が依存状態に入ってしまっているという自覚や認識を持つ必要があったり、
周囲の様々なフォローも必要となりますので、専門の方に相談していただけたらと思いますが、
ご子息にとってのギャンブルの位置付けですが、現在のところ依存症といった、
本人の意思の力でなんとかなるようなレベルを越えている状態とまではいかなくても、
少々の労力やマイナスを犠牲にしてでも「やりたい」と思っている状態なのかなと推察されます。
そこで、周囲のこころがまえとしては、問題行動をやめさせることに焦点をあてるよりは、
問題行動をしなくてもよい状態を作り上げていくことに集中するようにしていただきたいと思います。
つまり、ギャンブルで得られていた充足感を、他で得られるようになれば、
わざわざ周囲の信頼を損ねるような手段を行使することはなくなっていくので、
その方向にご子息を導いていただければと思います。
具体的にですが、まずパチンコをすることによって、どれだけ充実するのか、
そしてそれはパチンコでしか得られないのか、もしパチンコ以外に得られるのであればどちらが良いと思うか、
といった話をして、現時点ではパチンコが一番楽しいわけですから、
「それ以外になにか見つかると良いね」と、いつでも協力するからといった姿勢を見せていくことだと思います。
(たとえば、あんまり依存症の怖さを教えてやめさせようと思っても効果は期待できませんから、
どうしても心配なのであれば、知識として教える程度で済ませた方がいいと思います)
本当の本当に自分はギャンブルによって永続的な充足感を得られるのかといえば
ノーだと理解できると思いますから、
「だったらなにか見つけよう。若い今なら可能性はいくらでもある」といった、
お母様とご子息の「共通認識」を築いていくこと、
単に理解させるのでなく、本人が「そうだよな」と思ってもらうことを意識して、
コミュニケーションを続けていけばと思います。
それらのコミュニケーションを取った上で、あとは実際の「お金の出所」をおさえておくことだと思います。
今回の場合はおばあ様のクレジットカードを悪用したということで、
悪いとわかっていても、安易にお金が手に入る方法があればそちらに流れてしまうくらいの
状態ではあるわけですから、
コミュニケーションを取っていく中で、そのような隙を見せないようにすると良いと思います。
ご子息もつい魔が差してお金を拝借、という行動を何度か取ることがあるかもしれませんが、
そんなときに結局お金が見つからなかったりすると、だんだんとあきらめてしなくなる可能性が高くなっていきます。
安易に手に入ると味をしめるわけですが、それを防止する意味でも、
気付かれることなく、さりげなく出所をおさえておいてください。
(もちろん、まず上述のようなコミュニケーションを取っている上で、出所をおさえることが肝心で、
単純に出所だけおさえることは有効ではないですから、はきちがえのないようにしてください。)
そして、このような対策を講じても、今後ご子息が失敗をすることがあるかもしれませんが、
そのときこそ、
「やっぱりパチンコをしなくても、あなたが充実していると感じられるものが他に必要だね」
という感じで、失敗から本当に必要なものがなにかというものを身にしみて学ぶような
アプローチにしていただければと思います。
少年院の生徒も、だんだんと「このままではいけない、変わらないと」とわかっていても、
でも規律違反などの失敗をすることがありますが、
そこで初めて本当の意味で理解できたという生徒も数多くいます。
なので、少年院では失敗しないという環境より、失敗から学ぶという環境を重視しています。
感謝の気持ちや良心といったものも、失敗から培われたりもしますし、
お母様の心労も本当に大変なことと思いますが、これからもあたたかいお気持ちで
接していただけたらと思います。
長文読んでいただき、ありがとうございました!
回答日時:2010年2月18日(木) 23:19 JST
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増田様
ご丁寧な回答ありがとうございました。
その後、息子に依存症のチェックシートで
自分がどのような状況なのか確認したり、
親子で話合ったりしておりました。
息子も自分の当てはまる部分があることがショックだったけれども
今回のことが発覚したあと、パチンコ屋の前を通っても
全く行きたいと思わないようになったと言っております。
まだ自分の中でも消化しきれてない状態だと思いますので、
今後もたびたび話はしていくつもりでおります。
ご指摘のようにお金や通帳などの管理も家族全員が気を付けるようにしました。
息子自身も他に打ち込めるものがない、空いた時間に何をしていいのかわからない
ところからゲームやパチンコにのめり込んだので何か探さなければいけないとは
いまさらですが感じているようです。
今すぐに見つかるものではありませんが、自分で少し自覚してきているようなので
見守ってやりたいと思います。
私自身も相談結果を読んで、少し心が落ち着きました。
失敗から学ぶというのは本当にその通りだと思います。
今回が2回目なので惨憺たる気持ちでおりましたが、
長い目で見守っていこうと改めて思いました。
また何かありましたら相談させていただくかもしれませんが、
本当にありがとうございました。
| 40代/女性 | コメント投稿日:2010-02-22 |