結婚後、妻も共にあなたも変っていませんか？

夫婦問題カウンセラー 村越 真里子

ハイカーさん、貴方と私は同い年のようで育った時代背景などからくる、価値観なども少しは理解できる気がします。
結婚前には将来設計のつもりで話した事と違ってくるなんて約束が違うじゃないか・・・という事は判ります。

確かに、約束という物は守るべきだと思います。
でも長い人生、気持ちが変化する事は在るのです。
現に私も結婚後、20キロも太りました。
これは明らかに元夫にすれば「話がちがうじゃないか」と思ったでしょうね。

奥様だって最初からハイカーさんとの約束を反故にしようとは思っていなかったと思います。
この人についていこう、この人についていけば幸せになれる・・・と夢見て結婚したはずです。
でも、結婚してその期待を裏切られる事は数々あったかもしれません。
そういう意味ではハイカーさんも自覚はないけれど、約束破りがあった可能性はあります。
その約束した事をまるで印籠のように言われますが、残念ながら、約束を破るという観点だけで考えると確かに契約違反でしょうけれど、それを守るべき条件を満たし続けていたかというと、そうではないのでしょう。
その不満の中身は判りませんが、それは奥様も同じで　「私の気持ちなんて判らないんだわ」と感じているに違いありません。
今現在、金銭面も問題なく、子供も無事育っているという事は何よりです。
でも、奥様のフォローまではできていない可能性はないですか？
2人が話をしようと向き合う時に　「僕はこれだけの事を満たし、僕は悪くない」とポーンと前置きされるとそれは1対１でいる限り、相手が悪いという事の代名詞になってしまいます。
自分は悪くないと、自分の立ち位置をまず安全圏に逃してから話し出すと奥様の立場はヒーローと相反するヒールの立ち位置になります。
話し合いという事は、奥様の言い分次第によりハイカーさんの考えも変わる可能性がある場合の事で、どのような理由であっても、最初の約束を守ってもらわないと困るという不変の答えであれば、それは、ハイカーさんの宣言でしかありません。

最初から歩み寄りの可能性なく、答え有りきで、「約束違反だとう」となると、それは単なるダメ出しで奥様はだんまりを決め込むしか無くなるわけです。

その話し合いもなく、今後自分の気持ちも受け入れてもらえないとなると、奥様も東京を離れないという強硬手段に出てしまうのではないでしょうか？

奥様は最初から転勤を否定していたわけではないと思います。
多分、転勤について行って、何年も実際に体験した結果、やはり自分には他の土地で暮すことは辛いと感じたのでしょう。
また、子供さん達の転勤による影響を考えると子供さんたちもストレスがあったのではないでしょうか？
転勤についていかない宣言は奥様の実体験があっての答えだと思うのです。
でも、そこに至るまでそのストレスを夫として解消させる努力や、心から悩みを聞いてあげるような機会はありましたか？
恐らく、お仕事の多忙さに加え、その時も、「転勤とはこんなものだ、それを承知の上で結婚したはずだ」というハイカーさんの問答無用を奥様が感じ取ったとしたら、多分奥様は、自分の悩みすら受け止めてくれないという無念さを感じてらっしゃったのではないでしょうか？

もちろんハイカーさんの気持ちも判らない訳ではありません。
でも、誰しも結婚する時は、結婚をしたいという気持ちで全ての不安材料に蓋をするのです。
そして相手の事は良く見えるので、この人なら私を幸せにしてくれると夢を見るのです。
でも実際結婚生活の中で、その夢が打ち砕かれるのです。（これは誰しも同じです）

奥様に対し、「約束やぶり」というような結果だけを鬼の首を取ったように言うのであれば、男性も結婚する時は「君を幸せにしてあげるよ」と約束しているはずなのです。
でも奥様は現実にハイカーさんと結婚して、何か自分の気持ちが通じない物を実際の暮らしの中で感じて行ったからこそストライキをおこした訳です。
これも裏返せば「幸せにするって言ったのに約束破りじゃない」という事になります。

約束を破ったという事に腹が立つかもしれませんし、その理由を奥様のご両親の影響もあるでしょう。
でも最初はその親の反対も押し切ってハイカーさんに付いて来てくれたのでしょう？
本当にその時の奥様の気持ちには嘘はないでしょう。
でもその結果、奥様だって思っていた人と少し違っていたという事でがっかりされたのではないでしょうか？
約束破りはお互い様、それを義両親のせいにするのは　ちょっと違うと思います。
実際は奥様が、夫についてこなくなったということはこれが愛情のバロメーターです。
土地に馴染めなくても、夫と仲良く、幸せであれば何とか着いていくものです。
でもその夫に失望したから、もう転勤には付いていく気がしないというところです。
大変冷たい言い方ですが、結婚10年目というのは奥様が夫に対して多少の事があっても、まだまだ我慢できる期間です。
それなのに奥様は「もう無理」と白旗を揚げたのはハイカーさんとの夫婦の関係の悪化を物語るものです。
ひょっとしたら、精神的なストレスも頂点に達していたとしたら、親御さんが助け舟を出したとしても不思議ではありません。
義両親が原因だ、義両親が後ろで糸を引いていると考える限り、ハイカーさん自身、自分への反省点は見えてきません。
今、起きていることを約束破りと考えるのは、ここでもやはりハイカーさんの「僕は悪くない」という逃げです。

奥様と2人で向き合い、「僕は悪くない」という安全圏に自分を置くと、自然と向かいの奥様が悪いという図式ができあがるのです。
そういう事でハイカーさんの考え方はかなり男性本意の考え方です。

セックスにしてもそうです。
正直申し上げて、日本人の夫婦においてセックスを妻から誘う何て事は、ふざけてはあっても、実際はあまりありません。
もしあるとしたら、それはアダルトビデオの中での世界で（何で私が知ってるの？という事はさて置き）妻が積極的になんて外国の夫婦や洋画の世界かもしれません。

女性には、男性のような性欲はありません。
もしあるとしたら、夫に優しくされたい、抱きしめられたいというスキンシップの延長線でしょう。
と、いう事は一人目出産の時に「一生セックスしない」と言われた奥様の思いは何があったのでしょうか？
そこを、キチンと気持ちを聞いてあげて、解決するべく努力はされてきましたか？
そういうことがおざなりにされたまま時間がたつと、夫婦はこじれて行きますので、もう夫とはやってられないわ・・・と、ある種の決別宣言になります。

そんな時、セックスを誘わない妻という観点に立つより、何故妻は僕に甘えてこないのかと、何故考えなかったかという事です。

つまり、あれもこれも奥様のハイカーさんに対する愛情がクールダウンしていったその原因を考えてみて欲しかったと云わざるを得ません。

これが結果的に、「転勤には着いていきません」という決意で、ここを約束破りという事だけで解決しようとすれば、それは少し違うでしょうというように思えます。

奥様はご自身の親に家を買ってもらいました。自分の住まいも確保し、ハイカーさんに頼らなくても生きていけるような決心をされたなら、離婚もあるかもしれません。
今後注目すべき事は、この奥様の気持ちの中の事を聞いてあげてください。
ダメだしだけでは、今度は本当のダメだし、つまり三行半（みくだりはん）を下されるのはハイカーさんになるかもしれません。

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回答日時：2010年2月14日(日) 08:16 JST

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