建築工事と日照権

佃 泰人

ご相談ありがとうございます。

ちょっと状況が分かり難い面もあるのですが、南側の隣地に住宅が建築されることで、自宅２階にあるリビングの日当たりがさえぎられてしまうと言うことでしょうか？

日照権については、建築基準法では、建物の高さ等の規制によりある程度は制限があるのですが、いわゆる、生活権としての日照権とはまた別の考えであると言えます。

この場合の日照権は、騒音や近隣関係と同じように、一般的にその地域内で我慢すべき範囲内かどうか？と言うことが問題になります。
いわゆる、受忍限度というものです。

三階建てが建てられるような地域では、土地の高度利用が前提でしょうから、必然的に日照関係等は犠牲になりがちです。
従って、建築基準法に合致した建築物であれば、日照被害の程度は受忍限度の範囲内と判断される事例のほうが多く見受けられるのも現実です。

建築が始まっていると言うことですので、工事を差し止めるとなると、弁護士に相談上、建築工事差し止めの仮処分と言う手続きを裁判所に取ることも可能ですが、それなりの金銭を供託しなければなりません。

そのようなご負担を覚悟するかどうか？と言った判断は必要になります。


後は、弁護士を通して、話し合いと言う道もなくはないですが、これも強制力があるわけではありません。
建築会社が任意に協力してくれなければ、費用倒れになってしまいます。

最後は、行政の建築相談室等の建築紛争処理機関ですが、建築確認が適法になされているというと、難しい状況です。これも、行政が多少間に入って業者との話し合いの場を作ったりしますが、やはり強制力はありません。

このような手段の中では、裁判所への建築工事差し止めのみが法的な拘束力を持つと思いますが、費用面で問題があると思います。

行政等でまずは相談してみて、基準法上適法と言うけれど、良いのか？また、建築確認の通り建築物は工事されているのか？チェックしてもらうのも一つです。

ただし、ご質問のような隣との距離を開けるような建物は、あくまで建築会社・事業主の善意での協力にしか期待できません。
一度行政の方にご相談に行ってみてはいかがでしょうか？

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回答日時：2010年4月20日(火) 13:34 JST

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