口だけ人間にならないよう、「結果」が大切だと伝えてください。

公認心理士 / ｽｸｰﾙｶｳﾝｾﾗｰ / 研修講師 / ｺｰﾁ 増田 進明

ご相談ありがとうございます！

大変申しわけありませんが、諸事情が重なりPCが使用できず、返信が大変遅くなってしまいました。
周囲の状況や、ご依頼主様の心境など、
ご相談された当時からきっと様々な変化があったことと思います。

そして、ご依頼主様ご自身が周囲のこころない言動などで大変な思いをしたこと、
そして将来弟さんとどう付き合えばよいのか、不安な思いでいっぱいであることが、
文面から伝わってまいりました。


私からは、実際に少年院で教官をしていましたので、その経験を踏まえたお話をさせていただきたいと思います。

まず弟さんに関しましては、面会のときの様子や、
また手紙で更生への気持ちを伝えてきたことから考えて、きっとその気持ちは間違いなくあるのだと思います。

ですので、まずはその気持ちだけは信じてあげてほしいというのが、元教官である私の気持ちです。


といいますのも、本人の更生のためには、もちろん本人に更生の気持ちがあることが必須ですが、

その気持ちを現実にするためには、
①本人が更生するだけの実力（社会で生き抜く力）を身につけていて、
②かつ周囲の（精神面も含めた）支援的な環境がある程度整っていることが必要です。

少年院の中で非常にがんばっていた生徒であっても、再非行をしてしまう場合がありますが、
追跡調査をしますと、やはり①か②のどちらかが不十分であったために、あやまちをくりかえしてしまっていることが多いのが現状です。


①に関しては、少年院の教官が日々の生活の中で、時間をかけて訓練をしていきます。
ですので私の心情といたしましては、お姉さまにおかれましては、
弟さんが出院したときにできるだけスムーズに社会復帰（特に就職先などを決めること）ができるよう、
できる範囲でかまいませんので、ご配慮いただけたらと思います。


ただしあまりに全面的な協力をしてしまうと、それで安心して、
少年院の中で①のための努力を怠る場合があるかもしれませんし、

なによりご依頼主様が弟さんのせいですでに様々な苦痛を被っている上に、
出院後の先々の不安を考えたら、なかなか協力的な気持ちになれないかもしれません。


ですので、私としては最後のチャンスとして考えていただき、
（１）出院後に仕事が長く続くよう、少年院の中で一生懸命に実習作業をすること
（タダ働きでもがんばれるくらいでなければ、「出院後も大丈夫」と周囲から安心して見てもらうことはできない）

（２）非行をしない人間になるといった当たり前のレベルでなく、
これからの人生は「人を支え、幸せにできる人間になる」よう、少年院の中で対人関係を磨くこと
（少年院の中での対人関係のトラブルや失敗、悩みから、謙虚に学んで人間性を成長させること）


こういったことを、「口だけ人間」にならず、「結果（少年院では成績があります）」で見せていくことが
必要だと本人に伝えてほしいと思います。

そういった、更生への気持ちや姿勢だけでなく、「結果」が伴う状態であれば、
安心して協力できると思うけど、それについてあなたはどう考えますか？といったことで、本人の本気度を正してみてもいいかもしれません。


ご依頼主様の支えが、今はなによりも本人のこころの支えになると思いますし、
弟さんも非行の事実は許されないものの、そこに至るまでにきっと相当つらい思いをしていて、
その上での非行だったことが十分に考えられます。

私としては、できるかぎりそのような心情に寄り添いながら、
でも結局は本人の自立が大切なので、必要なことははっきり伝えていくといったスタンスで、
今後も弟さんと接していただけたらと思います。


長文読んでいただき、ありがとうございました！

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回答日時：2010年8月 9日(月) 23:49 JST

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