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「大丈夫?無理しないでね」に答え方について

ご相談者:40代/女性

 初めてご相談します。 私は東京在住ですが地元が津波被害にあいまして、実家の建物が半壊しましたが両親、家族、親戚共に無事でした。 「 今、被災者にしてはいけないこと 」 を拝見しまして
救われました。 親の安否が全く取れていない当時の「ご実家は大丈夫?」というメールがとても辛くて、とりあえず全てのメールに「ありがとう、まだわからないので無事を祈っててください」と返しました。なので
コラムの”なぜならこれらの言葉は、私たちが、私たちの心配する気持ちを解消するために、投げかけてしまう言葉だからです。”は、本当に多くの人にしってもらいたく、同じ東京にいる東北出身者に転送して、喜ばれました。 同じ状況の彼女たちと過ごして、気持ちを共有すると、本当に癒されました。ありがとうございます。

 今悩んでるのは、「ご実家は大丈夫だった?」に対して、どうこたえるべきかについてです。実家は一階に近所の倒壊した瓦礫が入りこみ、かろうじて2Fは残っている状態です。 両親は無事に避難してきてますので、「大丈夫」と答えると、「おうちは残ったの?」と追い打ちの質問がきます。なので、「両親は無事だったけれど、家はだめ」と言うようにしてました。 そのやり取りにどうも違和感を感じながら、その旨を年上の同僚にぐちった所、「大丈夫じゃないんだから、大丈夫じゃないって言えばいいんだよ」と言われ、その後「大丈夫じゃない。」と答えるようにすると、詳細の説明を求められます。 こういう場合はどう答えるのがあたりさわりなく、自分も相手も傷つけずにいられるのでしょうか?

 もうひとつ、金曜の夜行バスに乗り被災地の親戚に物資と片付けのお手伝いで帰ります。なるべくこっそり行こうと思ったのですが、耳に入った友人から「無理しないでね」と釘さされると、「無理するよね」と言いたくなっちゃいます。そういう心配についても、どうこたえるのがいいのでしょうか?「はいありがとう」と大人の対応がいいのでしょうか?

 あと、地元で被災した親戚、友人に対して、地元を離れた物の心構えと対峙する際の注意事項も教えていただけると助かります。よろしくお願いします。

40代/女性 | 日付:2011年4月 7日(木) 09:45 JST | 閲覧件数: 17,940

まずは、ひとつひとつを、考えていきましょう。

村上 裕

わかめさん。
ご相談ありがとうございます。
本日の朝のご相談に対して、夜のお返事になってしまったこと。
お待たせして、すみませんでした。

「 今、被災者にしてはいけないこと 」 のコラムがわかめさんのお役にたてて、心から有り難く思います。
確かにあのコラムは、被災地で過ごしておられる方と、そして、被災地にご家族がいる方のお役にたつよう、書いたものです。

また、わかめさんと同じ状況のご友人の方々とお気持ちを共有されたというところは、ふたつめのコラム 「 被災地におられない方々のセルフケア(長文) 」 がお役に立てたのかと思います。

ご家族の安否がわからない状況で、ご実家の心配をする方々のメールは、わかめさん自身に対しては心配する気持ちを伝えるはずのメールでありながら、ご家族を心配するわかめさんご自身にとっては、不安なお気持ちを後押ししてしまう側面があったのだと、私

には感じられました。

その状況の中、わかめさんのご知人の方々のメールや気持ちを、辛さを感じながらもお受け取りになられ、それでもお返事されていたこと、想像できないほどの苦しい時間だったのではないかと思います。
その時間を耐え、周囲の人間関係と、今日この時までご自身の心を守ってこられたことは、わかめさんご自身の、生きる力です。
とても力強い、生きる力だと思います。


ご相談の回答について先にお伝えしたいのですが、内容が多岐に渡ること、タイムリミットのひとつが明日4/8(金)の夜であること、わかめさんとの対話が文章であること、などのことから、かなりの長文となります。

本来であれば、面談のカウンセリングにてお話しをお伺いしたい内容ではありますが、ご出発までにお時間がなさそうであることから、この回答に記載させて頂きます。

本当に長くなります。
どうぞ、ゆっくり休みつつ、ご覧くださればと思います。



ご相談頂いた内容、分かりやすく書いてくださってありがとうございます。
わかめさんご自身も分けてくださったように、焦点となるのは3つですね。
文章をそのまま引用させて頂くと、

(1)「ご実家は大丈夫だった?」に対して、どうこたえるべきか...

(2)「無理しないでね」と釘さされると、「無理するよね」と言いたくなっちゃいます。そういう心配についても、どうこたえるのがいいのでしょうか?

(3)地元で被災した親戚、友人に対して、地元を離れた物の心構えと対峙する際の注意事項...

分けさせて頂いた3つを、緊急性があると感じるものから順番にお答えさせて頂きますね。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


まず最初に、
(2)「無理しないでね」と釘さされると、「無理するよね」と言いたくなっちゃいます。そういう心配についても、どうこたえるのがいいのでしょうか?
についてお書きします。


“無理をしないでね”という言葉の前には多くの場合、言葉にならない、あるいは、文字にならない“隠された感情のことば”が含まれています。

例えば、“(あなたの事が本当に心配だから)無理をしないでね”。
あるいは、“(現地に行くことであなたも危険だと思うから)無理をしないでね”
また、“(現地に行ってショックを受けるかもしれないから)無理をしないでね”

など、他にも沢山のことばがあると思います。
相手との関係性次第では、残念ながら、好ましくない“隠された感情のことば”もあるかもしれません。

わかめさんに“無理をしないでね”と声をかけられる方が、どんな“隠された感情のことば”を込めているかは、その方を知るわかめさんでしたら想像できるのではないかと思います。

どんな隠された“感情のことば”が含まれていると思いますか?

ひとつ、文章から察する部分としては、現地のでご親戚のために無理をするくらい頑張りたい、というわかめさんのお気持ちに対して、“無理をしないでね”という言葉の響きが心をくじくようなニュアンスで伝わったのかなと感じます。

ですから、私が提案できることとしては、言葉の組み合わせのテクニックです。
これは、ふたつの言葉を組み合わせます。

「(A)受け取りの言葉+(B)自分の要望」

です。もう少し書くと、

「(A)心配してくれた言葉に対して、わかめさんが感じた気持ち。+(B)わかめさん自身がどうしたいか。」

というのを、具体的に書く(言う)と良いかもしれません。

相手の方が発した言葉をいったん受け取ることで、その方は自分の気持ちや言葉が伝わった安堵感を感じる可能性が高いです。

その後に、わかめさんご自身がどんな気持ちで被災地のご親戚のもとに行くのかを伝えることで、相手の方も受け取りやすくなり、わかめさん自身も自分の意思を伝えることができた、という気持ちに繋がるのではないかと思います。

相手と自分の双方の気持ちを大切にしたい時、ひとつの目安になるは


「自分も満足して、相手も満足する」


ことです。


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次は、
(3)地元で被災した親戚、友人に対して、地元を離れた物の心構えと対峙する際の注意事項...
についてお書きします。


大災害が発生して、そろそろ4週間が経ちます。
被災地におられる方の環境や状況にも、地域ごとに違いが出てくる時期です。

予想されることとしては大きく分けて3つ。

ある人は、未だ感情を閉じて耐えているかもしれないですし、

ある人は、感情の発信が始って怒涛のように溢れている頃かもしれない、

ある人は、感情が開いたり閉じたりを繰り返している過渡期かもしれない、

ということです。
感情は伝わりあい、影響しあうものですから、さっきまで静かだった方が、周囲の方に影響されて感情的になることもあるかもしれません。


また、可能性の例として、
・地元を離れていたわかめさんが帰郷されたことで、大きな安堵感を感じる方。
・もしかしたら、地元を離れていたが故に被災をしなかったわかめさんに対し、理不尽とも思える激しい感情をぶつける方がいるかもしれないこと。
・自分の力で出来る事をしたいという気持ちから、補助を断る方。
があります。


ひとの感情は生き物ですから、その状況や環境、コンディション、周囲で時間と場所を共有する方、災害で受けたダメージの大きさ、もともとのその方の性格、など、様々なものが影響しあって表現されます。

特に、これまでの日常が目の前から無くなってしまった環境では、それまで当然のように存在したルールや道徳などが、不意に意識から抜け落ちてしまう事もあります。
逆に、よりいっそう人との絆や助け合いの心、暖かい気持ち、強い気力や活力、優しいきもち、そんなものが強まることもあるでしょう。

今、私からお伝えできる提案としては、

「被災地の方とどんなコミュニケーションになるか、接してみないと分からない」

という事を、心のどこかに置いておくことです。
そして、コラムの「今、被災者にしてはいけないこと」にも書かせて頂いた、“無理に感情を引き出さない”ということ。

これからお会いする方々の心が閉じているか、開いているかの判断は、わかめさんの心を守ることを最優先にしつつ、わかめさんの心で感じてみてください。

また「予想していた以上に酷い光景だった」という声を聞いています。

被災者の方とのコミュニケーションとは別に“自分が被災地の光景を見て衝撃を受ける可能性”があることを、どうか、心に置いてくださればと思います。
予想していなかったことを受けた時の心の衝撃と、予想しつつ受け止めた時の心の衝撃は、その強さが異なるためです。


そして、極限状態としか表現ができない状況の時、その方の心にあるのは“今、自分が何をしたいか”という気持ちであることも、ありえると思います。

「なぜ、わかめさんは被災地に行きたいのか」

という、わかめさん自身のお気持ちの原点を確かめることが、必要な心構えのひとつだと、私は思います。
いかがでしょうか。
わかめさんはどんな気持ちがあって、被災地に行きたいと感じておられますか?


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


最後に、
(1)「ご実家は大丈夫だった?」に対して、どうこたえるべきか...
についてお書き致します。


このご相談については、恐縮ですが面談でのカウンセリングをお願い致します。
私は東京都中野区にてカウンセリングルームを開いていますが、私との面談が難しければ、是非、心の専門家のサポートをお受けになられてください。

というのも、文章の内容から読み取れる部分として、わかめさんにお声がけする複数の方々との距離感が、それぞれ異なっていることがひとつの要因のように感じられるのです。

どれくらいの距離感の方に、どんな言葉を返していきたいか。
また、その返す言語のバリエーションや優先順位をどうしていきたいか。
そして、わかめさんのご実家の状況を、どこまで開示したいか。
という、わかめさんご自身の気持ちのありようも、お話しを伺う必要があると思います。

これに関しては、残念ながら文章では及ばない部分と感じます。

もし私との心理カウンセリングをご検討頂けるのでしたら、http://www.pmr-co.comをご参照ください。
心理カウンセリングとは実際どんなものなのか、分かりやすくご説明させて頂いています。

ご依頼料や、ご依頼方法については、WEBサイトだけでなく、当悩み辞典の「詳しい仕事内容(料金/サービス/営業時間)」にもご紹介しております。
宜しければ、ご検討ください。



以上、ここまで、かなりの長文となりました。

重ね重ね、本来は面談でのカウンセリングにてお話しを伺いたかったお話しでしたので、文章であるがゆえのニュアンスの伝わらなさなどもあると思います。
また、文章であるため、あえて明示しなかった部分などもあります。
(※「(A)受け取りの言葉+(B)自分の要望」など。)


ここに書かせていただいた文章が、これから被災地で様々な方と接するわかめさんにとって、少しでもお役に立つよう、祈ります。


ここまで読んで頂き、ありがとうございました。



WEB:http://www.pmr-co.com
Mail:paintingmyroad@gmail.com
Blog:http://paintingmyroad.blog14.fc2.com/

このプロに有料相談

回答日時:2011年4月 7日(木) 20:25 JST

村上先生 長文のご返答ありがとうございました。

今回初めてのご相談だったので、一つの質問に3つも書いてしまってすみません。
テーマも難しいですよね。 真摯なご回答ありがとうございました。


(2)「無理しないでね」と釘さされると、「無理するよね」と言いたくなっちゃいます。そういう心配についても、どうこたえるのがいいのでしょうか?

 「無理しないでね」と言ってくれたのは長年の会社の友達で、中越の時に現地に行っており、経験をふまえて言ってくれたんだろうなぁと、今冷静に振り返ると思えます。 年齢を考えずに体力を過信していると、まわりにいつも叱られているので、そういう私を理解した上で釘をさしてくれたんだなと思いました。
本当に友達に恵まれてよかったなと思うことが、震災後に色々あります。 言ってくれる人の言葉をよく解釈して、「自分も満足して、相手も満足する」会話が出来るように心がけます。 ありがとうございます。


(3)地元で被災した親戚、友人に対して、地元を離れた物の心構えと対峙する際の注意事項

こちらに関しては、 「被災地の方とどんなコミュニケーションになるか、接してみないと分からない」
本当にそうだなと思います。 皆様過酷な状況に耐えていて、本当に辛抱強く、改めて東北に生まれ育ってよかったなぁという映像しかみていませんが、現場で経験する事はそんなに甘くはないと覚悟してます。
色々な事が起こると思いますが、一つ一つ丁寧に解決していきたいです。

振り返るとちょっと、地元に帰ることに対して気を張りすぎてて、余裕がなかったのかもしれません。 
気付かせていただきありがとうございます。


今回先ほど6強の地震が発生したので、避難してきた両親から行くのをやめてくれと釘をさされました。やめると応えつつ、バスも取れたし行こうと思ってたのですが、仙台の兄の家は停電、気仙沼のいとこは近所の避難所に逆戻りしたみたいなので、延期することにしました。


 カウンセリング是非お願いしたいです。現地を訪問したらご連絡します。 今回書いていただいた内容をいかして、現場にてどう対応できたか話させていただきたいです。

本当にありがとうございました。 ご相談して良かったです。

わかめ

| 40代/女性 | コメント投稿日:2011-04-08 |

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