家族愛のような関係

夫婦問題カウンセラー 村越 真里子

ピオーネさん、ご相談下さりありがとうございます。
そして、これまでに心理カウンセラーの先生へご相談された内容も読ませて頂きました。
確かに村上カウンセラーの仰る通りだな、と感じております。
私の回答させて頂く分野は、夫婦問題の具体策である為、今、目の前に起きているピオーネさんの問題は、解決すると言うより、どのように捉えたらいいかという問題だとすれば、心の持ちようはやはり心理カウンセラーの先生の手助けが必要かな、と思います。

そこで回答ではありませんが、私もピオーネさんと同じ年代、50代です。
ここはひとつ、専門家の回答と言う事ではなく、友人になったつもりで、サクッとお話ししようと思いますので、多少のはみ出しはお許し願います。

ピオーネさん、これまでの私は彼にとって何だったの？と聞きたくなる事は判ります。
それは私が代わってお答えすると、「恋人」だったのではないですか。
4年間のお付き合い、お互いに楽しい事は2倍になり、辛い時は支え合って、苦労は半分に。
素敵な時間を共有されたと思います。

でも、それは「恋」だったのです。
永遠でない分、恋ははかなくも終わる事があります。

私の生業としている夫婦問題は、夫婦を相手にしています。
夫婦はある意味、将来も共白髪まで行こうとすると、お互いの主張を飲み込んだり、我慢や忍耐をしながら、妥協をします。ここには胸キュンやときめきはありません。
誤解を恐れず言いますと、籍が入っていると言う事は、色々な保障があると言う事で、保障はともすれば、人間を厚かましくさせます。

そういう意味では、「恋」には、何の保障も無く、計算もありません。
それだけにいつも、真剣勝負です。
そして、恋は突然終わりが来ます。

それの理由は、聞けば色々あると思います。
一生懸命だったからこそ、命、短しということもあります。
恋の終わりの理由を、つべこべ述べるのは野暮でしょう。

私が見聞きしてきた恋は、経験も含めて、「理路整然」と恋の終わりに理由を述べる人はいませんでした。
特に男性はある種、優しい、ある種残酷というのか、自分の気持ちを相手に上手に説明して恋を終わらせる人はいません。
男性と言う生き物はどちらかと言うと、自分から幕を下ろせない生き物です。
終わる理由はどんな事を言っても、別れには違いないので、それを述べると相手を傷つけると言う事になり、たいてい、あいまいな事を言うしかないのです。

でもピオーネさんの彼は、「田舎の両親の元で暮らす」とはっきり言っているじゃないですか。
それに間違いが無ければ、それを応援するしかないと思うのです。
そこに、「私とのこれまでは何だったの？」というピオーネさんの気持ちが加わるから、話がややこしくなるのを避け、音信不通になったと思うのです。

女性は話し合いが好きですし、なんでも言葉で説明してもらいたがります。
でも、何でもかんでも、言葉で説明出来る物でもなく、男性の気持ちはある意味、複雑です。

そこに、もしかしたらピオーネさんを一番傷つけない言葉を選んだのが、田舎へ帰るという言葉だったのかもしれません。
だからそれ以上の説明を求めても、彼はその言葉が精いっぱいの言葉だとしたら、これ以上掘り下げても何も得られないでしょう。

私も若いころから人を好きになって、恋をして、振って振られてしました。
これまでお付き合いがあった人には申し訳ないのですが、別れる時には何らかの隙間風が私の心にはありました。大好きでラブラブならば別れない努力が出来たと思うのですが、相手に対して何らかのボルテージが下がっているのです。そこで別れになる訳です。
自慢じゃないですが（？）私は別れ際に、わざわざ相手に対して、隙間風の話はしません。
また、相手からもされません。
そうして大人は、相手を傷つけないようにして、別れるのだと思います。
結局、恋人同士の別れには、本音の話なんてしないのが礼儀だと思うのです。

ピオーネさんと彼の別れは彼の帰郷で、幕が下りたのかもしれません。
また逆に、ピオーネさんに対して「今の看護師の仕事を辞めて一緒に田舎に着いてきてくれ」とは、無職の彼は言えず、自分のふがいなさを責めているかもしれません。
しかし、とにかく、彼はピオーネさんとの将来を考える責任を背負えないのだと結論を出したのだと思います。
「じゃ、これまでは何だったの」と言うのは、ちょっと残酷ですね。
お互いにたのしい時間を共有したはずです。
彼はピオーネさんの人生に責任を持つ夫ではない訳ですから、過去の刻にまで、責任を持たせる考え方は、彼には気の毒です。
彼もこれから仕事をせず、年老いた両親の面倒は看られないと考えているはずです。
田舎に帰って、職探しからしないといけないのかもしれません。
確かにピオーネさんの事は、大切であったとは思いますが、今人生の後半に来て、いつまでも彼は自分の事ばかりを言ってられない、親の事がのしかかってきた年代なのだと思います。
申し訳ないですが、今はピオーネさんの事を考える余裕はなくなったのだと思います。

そして、時間の経過とともに「恋」というときめきは無くなった。
でも、これまで生活面も含め、色々深く付き合ったから、家族愛のような・・・・・でも遠くに離れて暮らす事になった・・・・・
それが「遠い親戚のよう」と言わせたのではないでしょうか。

ピオーネさんは、今お仕事もあり、子供さんも大きくなり、自分の人生を謳歌出来る年代に来ました。
ピオーネさんはある種、安心できる位置にたどり着けたかもしれません。
だから自分の第2の人生をつい考えてしまいますが、彼は今、自分の人生どころから、親の問題で頭がいっぱいなのだと思います。

どうか、彼の人生を応援するつもりで、旅立つ彼を、手放してあげて下さい。

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回答日時：2011年6月10日(金) 11:18 JST

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