夫の思う謝罪は妻の望む謝罪と違います。

夫婦問題カウンセラー 村越 真里子

話は少し飛躍しますが、新聞の三面記事を賑わす事件の理解に苦しむ事があります。
かなりの地位にある男性が、一生を棒に振る男女問題を起こす人がいます。
性欲に負け、女性に対して下らない事件を起こします。
ともすれば、犯罪も起こします。
一生懸命築いた地位も名誉も
家族の信頼も一瞬一瞬にして
失う事件を起こすことがあり、これまでの人生と自分の欲求を天秤にかけることは出来なかったのだろうか？と考えてしまうのですが、それが血迷うという事なのでしょうね。

そのベースになっている物が性欲という事が事件の中から見えてくることがあり、時には殺人にすら繋がる事を感じるのですが、紙面にはここの背景は書かれていません。

男性と女性の間にある溝は、私もこの仕事をしていても、頭の痛い課題です。

どれだけ男女が愛し合っても、男性の体の中に湧き起こる性欲は女性には実感出来ません。
女性の身体の構造を男性は知識として知っていても、生理痛の痛みがどういう痛みか実感できるすべはありません。
男性がどれほど一日の中で性の事を考えているか。
変な話、電車の中でも女性が座席で足を組み替えただけで、殆どの男性諸君の目線は女性の足に動きます。
男性の性欲が何歳くらいまであり、いかにエッチな事が頭を占めているか、女性は知りません。
そんなことはないと、真面目な男性からは反論がきそうですが、この反論を真面目な人という捉え方がそもそも女性からの発想です。
男性は、真面目、不真面目ではなく、身体の中にそういう暴れん坊を抱えていると考えるべきだと女性には理解してもらいたいですが、これは男性からすれば、女性も同じでお互い様と思いたいでしょうけれど、これは
男性の希望的観測です。
確かに女性も男性と同様、性欲の強い人もいますが、主婦になると、その殆どが違うと言えます。

だから男性との性欲を益々理解できずに、夫婦の溝が広がります。

女性がよく口にする言葉で生理的に受け付けられないという事があります。
いくら知識で男性の欲望や機能は理解していても、本当のところで分からないので許せないのです。

何も風俗通いを認めてくれという話ではないと思いますが、妻にとれば「私以外の女性と・・・しかもお金を出してまで…不潔」という事です。

この女性が持っている感覚、「不潔」という事が男女の間では感覚が大いに違います。
風俗で働いている人にとればそれも立派な仕事でしょうけれど、とかく妻や彼女にとれば、「不潔」と感じることが、この生理的という感覚です。

男性がこの風俗を不潔かどうかを考えるときには「今時は保健所のチェックも厳しくて変な病気も心配ない」という理論になりますが、そうではないのです。
男性は風俗の女性はプロだから、男性にすれば単なる欲求の捌け口でしょうけれど、女性からすれば、むしろ浮気をされたような持つ人もいます。

だから女性が風俗を嫌がる感覚を男性からすれば理解しがたいでしょうけれど、ここを理解しようとする場合、
妻が他の男性と関係を持ったら、自分はどうするかを想像すると妻の感情は理解できると思います。

男性にすれば高々風俗だから・・・・という感覚は一旦捨てた方が妻の傷つき加減は理解できるでしょうね。

さ、この妻の傷をどう癒すか、ですが実は、女性の考え癖も理解してく必要があると思います。
女性は一つの事を考えるときに、これまでの出来事も、とかく思い出されて、過去の夫の至らなかった事を
ミックスして考える癖があります。

これは決していい事ではないので、女性には私も注意しているところですが、当の私もその傾向があります。

夫は家事も育児も非協力だ→だから家族の事なんて何も考えてないんだわ→だから風俗に行って妻を裏切れるのだわ→と、いう事は私の事も愛していないのだわ。

こういう風に考えが転がっていくのです。
男性に取れば、風俗に行った事は単なる排泄だったのに、です。

この考えの差を理解しなければ、妻に謝罪したところで「本当に悪いと思っているの？」という事になります。

そして男性の考え癖と言うのは　風俗に行ったことを白状したから、イコール謝っていると考えがちですが
女性は、白状は白状なのです。
それを白状してから、後はどう罪滅ぼしをするの？と次の行動を問われています。

そうです、妻は傷ついた自分をよしよししてほしいのです。
しかし男性は、自分の非もあり、これ以上、突かれないように必死でガードしているのです。
その腕組みのようなガードが妻にとっては距離を感じてしまい、「ちっとも優しくない」と感じてしまいます。

これは浮気を白状した男性にも言えるのですが、「正直に話した事が反省の表れだ」と考えているのに対し
妻は「白状は当たり前、さ、この先、傷ついた私をどう癒してくれるの」という事なのです。

女性は夫婦げんかをしたときに、過去の事をいっぱい引っ張り出します。
夫は、過去の事はもう謝ったじゃないか、過ぎたことじゃないか、と考えていますが、全然終わってないのです。
ずーと繋がっているのです。

それが先ほど書いた矢印→で繋がっていく考え方です。
女性は一つ一つ、過去の経験を貯めて出来上がっている生き物です。
それにくらべ男性は排泄して、その都度、捨ててきた生き物なのです。

この違いをようく理解し、昔、誤解を生んでいたこと、ボタンの掛け違いが起きた時の事。
これらの過去までさかのぼり、奥様のもつれた毛糸をほぐしていってあげる必要があります。

夫の思う謝罪は妻の望む謝罪と違います。
本当の謝罪とは相手を理解する事です。
夫の気持ちを伝えるより、妻の傷がどんなものかを理解した方が
本当は近道かもしれません。

そんな誤解は勝手に妻がしてるだけだ、なんて突き放さないで、奥様の埋められていないジクソーパズルを
一緒に埋めるつもりで、付き合ってあげて下さい。

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回答日時：2012年6月 2日(土) 07:06 JST

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