置き去りの感情を感じてみてください

心理カウンセラー・心理支援士 平間 正子

Ｍさんご相談ありがとうございます。敬愛カウンセラー学院平間です。

「学生の頃から人間関係がうまくいかないことが多く、過去の拾った缶のことを思い出して体調を崩すことが多くなった」というお悩みですね。
過去の出来事を忘れられないのはつらいですよね。
私たちのカウンセリングルームにも、終わったことに気を取られ、今を精一杯生きることができないという悩みを抱えて来られるクライエントさんが多くいらっしゃいます。
多くの場合、その場面で生じた自分の感情を、言わば「置き去り」にした事から、その出来事を終わりに出来ていないケースが多いように思います。
例えば、ですが、缶を拾った時に感じた恐い思いを、そのあとすぐにお母さんやお友達に話すことができて、相手に「そんな風に感じてるんだね。つらいよね。でもね、こうなるかもって色々考えてる事はきっと考えすぎだよ」と受け止めてもらえたなら、もしかすると今のようにつらい気持ちにならなかったかもしれません。
その時置き去りにされた感情が心の中で暴れることで、缶のふたが開いているか確認するために蹴らずにはいられなくなったり、「毒」という事が頭から離れないで白っぽい粉に過剰反応しているという事も考えられます。
かと言って、その時の事を悔やんだり、誰かのせいにしても解決にはなりませんよね。
私たちのカウンセリングでは、あたかも今その事が起っているように感じてもらうことで、置き去りにされた感情にアプローチし、終わっていない感情をすっきりして頂くということをしています。
手前味噌のようですが、「もっと早く来ればよかった」「今まで悩んでいたのが嘘のよう」とおっしゃるクライエントさんがたくさんいらっしゃいます。
Ｍさんにも是非カウンセリングを受けて頂きたいところですが、ご家族が反対されているのは残念です。

そこでＭさんに試してみてもらいたい事があります。
一人になれる場所で2脚の椅子を用意してください。
向かい合わせの椅子の一方に座って、目の前の椅子に２００４年の春の自分が座っていると感じてください。
Ｍちゃんは空き缶を見つけてシールを剥がそうとしたら、未開封だったことにびっくりして、そのままにしました。
その後「もしそのコーヒーに毒が入っていたら指紋のついている自分が疑われる」と考え、とても恐い思いをしています。
そこで、優しいお姉さんになったつもりで、Ｍちゃんに優しく声をかけてあげてください。
もし私だったら「心配だよね。いろいろ考えて恐くなっちゃうよね。でもね、あの後1ヶ月くらいで缶拾いや草刈りがあって、あの缶は無くなっていたんだよね。きっと処分されてると思うよ。それに、もし毒が入っていたとして、飲んだ人が病院に行くとか事件になったとしたら、新聞に載ってるよね。そんな話聞いたことないし大丈夫だよ」という感じでしょうか？
自分にピッタリくる言葉をくり返しくり返しかけてみてください。
置き去りにした感情は、今ここで起っていると感じることで鮮明に感じることが出来ます。
しっかり感じることが出来れば、きっとすっきり出来ると思います。

その事が再び心配になってきたのは震災後なのですね。
震災の時に感じた感情が何らかの影響を及ぼしているということもあるかもしれません。
震災時の時の「悲しい、恐い、腹が立つ」感情、それからそれ以前に意地悪された時の感情を、同じように椅子をつかってしっかり感じてみてください。段々すっきりしていくと思います。
ぜひやってみてくださいね。

拾った缶の出来事を思い出す事と体調を崩す、という事がつながっていると自覚されているようですが、そう思うことでかえって体調を悪くさせる可能性もあるのでは、と私は思います。
先ほどご提案したやり方でしっかり感情を感じていくと、出来事を思い出さなくなると思います。

ご家族は心療内科やカウンセリングに通うことに反対されているようですが、市の施設などでも話を聴いてくれる場所があるかもしれませんので、活用されてはいかがでしょうか？

Ｍさんが、過去に縛られず、いまＭさんの目の前にある毎日を楽しむことができますよう願っています。

回答日時：2012年9月 1日(土) 23:00 JST

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