消耗してしまわないように気をつけてください。

公認心理士 / ｽｸｰﾙｶｳﾝｾﾗｰ / 研修講師 / ｺｰﾁ 増田 進明

　申し訳ありません、なんらかの手違いで、ご相談が私のところまで伝わらず、つい先日知った次第です。大変遅れてしまいすみませんでした。

　たしかに、まじめな人がちょっと外れた行いをするとひどく非難し、いわゆる不良がちょっと良い行いをすると「本当は良い人」などともてはやす…といった心理傾向はあります。そして、「本当は良い人だと思いたい」という無意識的な願望が後押ししている場合も多いです。
　そしてこれは私の個人的な意見で特に根拠があるわけではないですが、「不良だけど気さく」な人を支持する人たちも社会に少数派ながらある一定数はいるようです（映画や漫画の登場人物でなく、現実の人物での話です。）。これは価値観の問題ですが、お母様はそのような「考え方」の人のようですね。

　冷静に事実だけを言えば、普段ひどいことをしている人が、すこし良いことをしたからって、それは単なる「きまぐれ」であって「本物」ではありません。それがわからないのは浅い考え方だと思います。
　そして、たとえ家庭環境に恵まれない子供であっても、まじめに生きている人はたくさんいるので、それを理由に従兄弟のしたことに免罪符を与えるかのような発言は、本人も周囲もしてはならないと思います（ただし、その人のつらかったであろう心情に理解を示すことはしてもよいと思います。）。

　そういう意味では私はあなたの考えに近いと感じますし、むしろ世の中ではあなたの考え方の方が多数派ですので大丈夫です。わかっている人はわかってくれます。
　しかし、肝心の母親（や親戚の方々）がそうでないのはとても苦痛だと思います。気持ちは多少はわかるつもりです。というのも私の場合は、人の前で自分を貶めて言われる経験が多くありました。先日も親戚が集まった際に、親戚の前で私がいかにダメな人間かを吹聴され、あとで親戚の一人から「私はわかってるから大丈夫だよ」と慰められたことがあります。
　一度言い出すと止まらず、今までずっとそんな調子です。褒められたことはありません。どうやら自分の思っている（理想にしている）姿と違うので、気に食わないという気持ちが少なからずあるようです。

　人の「考え方」はある程度変えられますので、母親の考え方を変えてもらうように説得を試みても良いのですが、なにせ母親は「困っていない」ので、変える必要性を感じないと思います。ですから徒労に終わる可能性が多くあります。
　たいていの場合「困っている」人の側が変わらざるをえないのが現実です。母親は考え方を変えない前提である意味諦めて、こちらができるだけ嫌な思いをすることがないよう対策を練るようにするのが、当面の最善だと思います。

　人は感情のある生き物なので、比較されて罵られてもまったく動じないほどの、まるでロボットのような精神性を獲得するためにはほぼ無理か、よっぽどの訓練が必要になりますのであまり現実的ではありません。
　むしろ「頭ではわかっているのに、どうしてできないんだろう」などと自己嫌悪に陥ったり、消耗的してしまう危険性がありますので気をつけてください。

　むしろどちらかというと、
　１）　そもそも比較されて罵られるような機会を減らす
　２）　罵られ始めたときにすばやく逃れる方法をあらかじめ準備しておく
　３）　罵られてしまったときに、傷ついた状態から回復する方法を見つけておく
　といった視点で、今のあなたにはどのような手段があるかを考えていってください（可能であればカウンセリングの場で一緒に考えていくといいですので、どなたかカウンセラーの方に相談する場合は、この文章を見せてもよいかもしれません。）。
　長文読んでいただきありがとうございました。

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回答日時：2014年12月12日(金) 23:41 JST

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