試用期間は、目的に照らし必要と思われる合理的な期間でなければなりません。

際 慶子

こんにちは。日々懸命に働く息子さんの姿を見ているだけに、さぞかしご心配でいらっしゃる事とお察し致します。
試用期間については、法律上明確に規定しているものはありませんので、試用期間を設けるか否かや期間については、当事者間で定める事となっており、通常は就業規則や雇用契約書に明記されることとなります。

つまり試用期間の長さは会社が自由に定める事ができるということになりますが、試用期間とは本来、労働者の職業能力や適性を把握するための期間で、その期間は労働者は不安定な状態を余儀なくされますから、その目的に照らし必要と思われる合理的な期間でなければなりません。
また、これを延長する場合は、当初の試用期間では労働者の能力や適性を十分に把握し得なかった事について、特段の事情が認められなければなりません。

ご相談内容を拝見する限り、会社は、特段の理由もなく試用期間を延長しながらも、正社員と同様の仕事をさせているわけですから、息子さんが正社員として雇用可能な能力と適性があると判断していると言えると思います。
にもかかわらず、合理的な理由もなく１年２か月もの間、不安定な状態を強いる事は公序良俗に反し不当な扱いであると考えられますから、即時正社員への転換を求める事が可能です。
社会保険については、正社員と比べて時間や日数について同程度に労働しているようですから、試用期間中であっても、会社は当然に加入させる義務があります。過去２年間までは遡って加入する事が可能ですから、早急に手続きをしてもらう必要があります。

息子さんの会社ではトップの意識が高いとは言えませんから、即時改善は望めない可能性が高いですが、まずは不当な扱いに対してNoと言う事が必要です。もし正社員への転換を求めた事でさらに不利益な扱いを受けたり何ら改善をしてもらいないようであれば、息子さんのお勤め先の都道府県労働局総合労働相談コーナーにご相談されると良いでしょう。ご希望であれば、当方でも個別のご相談を承っておりますので、当事務所HPよりご連絡ください。

貴方は息子さんに対し、仕事を辞めさせたいと考えているようですが、それを決めるのは息子さん自身だと思います。また、不当な扱いに対して、不当だと声をあげて改善を求める事ができるのも息子さん自身で、例えば行政機関に申出る場合も、息子さんの意思による申出でなければ具体的な解決をしてもらえません。
ご心配なお気持ちはわかりますが、息子さんの意思を尊重しつつ、よくお話合いになって、行動する事が必要です。

回答日時：2009年1月21日(水) 11:44 JST

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