業務上想定できる範囲のミスが生じた事で、これにより、直ちに退職を求める事はできません。

際 慶子

こんにちは。上司から心ない言動を受け、とても不安に感じていらっしゃる事と思います。
会社が、「業務上でミスを犯した場合、自主的に退職する」旨の定めをしていたとしても、業務上想定できる範囲のミスが生じた事で、これにより、直ちに退職を求める事はできません。労働者に辞める意思がないにもかかわらず、退職をするよう何度も求めた場合、それは違法不当な退職の強要となり許されません。

では、貴方が故意に、あるいは重大な過失によるミスを起こし、会社に多大な損害を与えた場合はどうかといいますと、これについては、会社は、就業規則に「故意または重大な過失によって会社に損害を与えたときは、損害を賠償させることがある」などの規定を設けていた場合で、実際に損害を受けた際に実損害額に応じて民事手続により労働者に損害賠償を請求することは可能ですが、この場合も直ちに労働者を辞めさせる事ができるわけではなく、客観的かつ合理的であって、社会通念上相当であるかどうかを判断する事となります。

ミスに対する労働者の責任の程度は、労働者の過失の程度のみならず、職場での安全指導、事故防止対策の実施状況や保険の加入状況など会社側のリスク管理の程度や、労働者の経験や熟練度に対する業務の負担の程度なども総合的に判断されます。

ご相談内容から、上司には人事権はないと言う事ですから、上司の上にあたる者や、人事権のある本社窓口などにご相談されてはいかがでしょうか。誓約書は、それ自体、何らかの法的効力を持つものとは言えませんが、貴方の意思表示があったという客観的な証拠になりますから、不用意に書かない方が良いでしょう。

会社に相談窓口がない、他に相談する人がいない場合は、会社の所在地を管轄する都道府県労働局の総合労働相談コーナーへご相談ください。

回答日時：2009年6月17日(水) 17:31 JST

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