これまでに小・中・高等学校での講演活動を通し、地方における薬物依存症の問題認識には共通して、対岸の火事的な見解が多くみられあまり薬物依存症に対する危機感を持っていない実状があります。
昨今、薬物の入手方法が容易になり、薬物依存症者の低年齢化が進んでおりますが当事者が自分の体験を語ることで、学校へ実情と体験をのせたメッセージを運ぶことは薬物の恐ろしさや、嗜癖行動から生じる諸問題を受け止めていただく大事な機会となります。
また、薬物依存症から生じる家族問題や人格形成に与える影響を訴えることにより地域での薬物乱用防止活動の一端を担っています。
これまで、地域の小・中・高等学校での講演や、鳥取県保険福祉センター、広島県精神保健福祉センター島根県立心と体の相談センター、鳥取県教育委員会、鳥取県内の各保護司会などその他にも様々な施設や個人単位での啓発活動を行っております。
私たちは地域(自治会等)における清掃活動、祭事、防災訓練、作業所等の施設の主催、イベントNPO主催イベント、様々なボランティア活動に積極的かつ精力的に参加しています。
これらの活動を通して、私たちは地域方々や我々を支えてくれる人と直接語り合いまた、共働きしながら人間としての生きる権利を大切にし個々の人間としての尊厳を復興したいと願っています。
私たちの「労働」とは、自らの存在意義を再確認することができる代表的な活動であって、その人の内面的な豊かさをもたらすものです。
「薬物依存症者に治癒という言葉はありません、しかし、回復はあります」
私たちは社会の中で「普通」に生きていく「力」と「権利」を求めて日々のミーティングと同様に定期的に行う、ボランティア活動を週に2~3回プログラムとして実践しております。
- これまでの当施設の入寮者について -
鳥取ダルクは、開設以来、述べ75名の入寮者があり薬物依存症者の回復と自立に向けた支援をしてきました。
この入寮者の75名のうちの90%が、医療機関(精神科)への受診歴があり入寮後も65%がいまだ向精神薬を服用せざるを得ない状況があります。
「精神保健福祉法」第5条(定義)で「精神障碍者とは、精神作用物質による急性中毒又はその依存症」と示されているように薬物依存症が病気として認知されているものの、その入寮者や精神状態は多様です。
彼らは薬物使用以前からの精神疾患を伴うものや、薬物使用による幻覚、妄想状態あるいは、社会的ストレスに対する脆弱性を伴うものでもあります。
このため精神科への通院治療が長期にわたらざるを得ない人たちも多く存在します。
また、幼少期に機能不全家族で育った人たちは、AC(アダルトチルドレン)概念を代表するように自己不全感に苦しみ、無力感、孤立感の中で一時的とはいえ、薬物やアルコール摂取でこの様な精神的な痛みを取り除き、生きる力を補いながら生きてきました。
さらに、前述した司法からのアプローチにより、刑務所内での薬物脱却教育において出所後のダルクでのプログラムを受けたいとの声も多く聞くようになり、対応を迫られております。
このような薬物からの回復に向けて、施設運営に当たり、幾重の困難な状況が背景にありながらも地域に薬物依存症者が入寮できる鳥取ダルクという受け皿があることは目の前で「薬物依存症は回復可能な病気である」ということを証明できる貴重な活動拠点として機能していると考えます。